第三十九話
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第三十九話 その六年の先輩
華奈子は塾に行く前に塾に行くその道で一緒に行く美奈子に問うた。
「ねえ、それでだけれど」
「それでって?」
「うん、今日の塾の時間にはもうね」
「その人が来てるっていうのね」
「そう、けれどあたし達は五年生だから」
学年が違う、学校で一年違うとだ。
「お会いすることはあまりないわね」
「そう、ないと思うわよ」
美奈子もそうだと答える。
「クラスも違うと思うから」
「確か六年の人って二人だったわよね」
「ええ、そうよ」
魔法塾は小学校から高校まで全学年いる、魔術は書道や武道と一緒で嗜みなのでこれで塾を経営も出来るのだ。
「先生達って華道や茶道もされるから」
「お茶やお花もなの」
「そちらは両方共免許皆伝だから」
「六年の先輩達は魔法だけじゃないの」
「何かそちらも学ばれてるみたいよ」
「凄いわね、お茶にお花って」
華奈子はそうしたものに芸術というか淑女、もっと言えば大和撫子の嗜みを見て憧れる顔になりこう言った。
「その六年の先輩もされるのかしら」
「音楽をされるらしいけれど」
「じゃあお琴?」
「それは先生達されたかしら」
こちらもかなり特殊な技能だ、だからどうかというのだ。
「お茶にお花、日舞はされるけれど」
「どちらにしても和風でもあるのね、先生達って」
「そう、実は魔法だけじゃないのよ」
そちらでも日本屈指の権威ではあるが、というのだ。
「雅な方々なのよ」
「どれも正座するからあたしには無理っぽいけれど」
実は華奈子は正座をするとすぐに足が痺れてしまう、だからそうしたものには最初から苦手意識があるのだ。34
それでだ、こう華奈子に言った。
「六年の人達って凄いわね」
「私もそう思うわ」
美奈子は足が痺れる方ではない、だがそれでもだというのだ。
「そうした大和撫子なことをされるなんてね」
「文化?っていうかね」
「ええ、そうしたものってね」
まさにそれだというのだ。
「それをされてるって感じで」
「しかも免許皆伝になると」
それだけになればというのだ。
「尊敬するわよね」
「魔法だけでも凄いのにね」
話は何時しか先生達の話になっていた、だがそれでもだった。
六年のその先輩のことに興味があった、その人が一体どういった人なのか、クラウンの面々の第一の関心は今はそこにあった。
第三十九話 完
2013・5・26
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