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アンドレア=シェニエ
第二幕その五
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。居場所はもう掴んでおります」
「そこまでやってくれたか」
「はい、これも仕事ですから」
「有り難う」
 彼は以前とは変わってはいない。少なくともその心はあの頃と同じである。そう、あの頃と。
「ご苦労、君の任務は終わりだ。ではこれからゆっくりと休むがいい」
「わかりました」
 密偵は頭を垂れた。そしてその場を後にした。
「金は大丈夫か」
「おかげさまで」
 後ろから声をかけてきたジェラールに答える。そして彼はそこから姿を消した。
「誰かを探し当てた様だな」
 シェニエはそれを見て呟いた。
「どうせ碌なことじゃないさ。ひょっとしたら我々かも」
「有り得るな」
 二人はそんな話をしていた。やがてジャコバンの議員達はテュイルリー公園に入った。そこで華美な色とりどりの淫らな服に身を包んだ女の一団が姿を現わした。
「娼婦達だ」
 ルーシェはそれを見てシェニエに囁いた。
「かっては貴族だった者達だ」
「そうか」
 シェニエはそれを見て頷いた。
「確かに彼女達は贅沢を欲しいままにしていた」
 彼の顔がみるみるうちに曇っていく。
「だが全てを奪い外に放り出せとは私は言わなかった」
 彼はそうしたあまりにも急進的な考えは否定していた。
「ましてやそのうえ命まで奪うなどとは」
 あくまでジャコバン派とは相容れなかった。彼は何処までも彼なのだから。
「暗くなってきたな」
 ルーシェは辺りを見回した。

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