第一物語・後半-日来独立編-
第四十章 戦場で踊る者達《3》
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していたのか。
そして、それを造れる日来の技術力。
空に見えるあの連結式の航空船は、一体どのようにしてそんな技術を得て、造られたのだろうか。
疑問に思うと同時に、日来は必ず成し遂げると思った。
必ず成し遂げる。そう、必ず。
だからこちらは辰ノ大花を守るため、ただそのためだけに戦うだけだ。
まだ正常に動く加速機を噴かせ、反撃を試みようとした時だ。
聴覚機器から聴こえた。
仲間の声だ。
『……こちら、A2。敵による砲撃で……頭部をやられました……』
ザザ、
『それにより、各機器に……影響、有り……。……安全機器の発動により……一時意識による、操作が出来ません』
ザ、サザザ。
ノイズ混じりの仲間の声が聴こえ、彼方の事態を確認する。
『こちらA1。どうした、負傷か』
『日来の、魔法術師……との戦闘で、どじ踏んでしまいました……。気を付けて、下さい……彼方は、日来は……』
『こちらA3! おい平気かよ! なんかノイズ混じってるしよお、援護に付くぞ!』
『……いえ、結構です。これくらい……一人でどうにかして、みせますよ……』
『おいおい、そんなこと言ってねえで。こっちはあらかたけり付いたし――』
おい、さっきなんて言った。
“こっちはあらかたけり付いた”。確かそう言った筈だ。
戦闘開始から十分近くは経っているだろう。しかし、彼がそんな短期間で敵を仕留めることが出来るだろうか。
いや、無理だ。
彼の本分は誘導戦。目標を目的の場所へ導く戦いを得意としている彼が、戦闘戦を本分にしている自分よりも先に敵を倒せるだろうか。
もし彼の相手が余程弱かったら別だろうが、彼の相手は半獣人族だった筈で、地上戦ならば空中戦装備のこちらは不利だ。
逆に言えば彼方は有利になるが、果たしてその状態で容易く彼方が負けるとも思えない。
ので、ここで一つ疑問を投げ掛けてみた。
『おい、A3。お前まさか……言ったのか……?』
『なんだよ、そんな低い声だして。こええって』
『質問に答えろ……言ったのか?』
笑い、誤魔化そうとしたが無言のこちらの様子で諦めたのだろう。
すまん! と、一番に謝罪の言葉が来た。
『だって相手が女子なんだもん! オレにか弱い女子と戦えってか? 無理言うなよ、オレは女子とイチャイチャするのは進んでやるが、女子と戦うのは紳士的に遠慮するぜ。だって相手が女子だから! どうせなら日来と共闘した方がこちらとしても得じゃねえ? てことで口からぽろって出ちまったんだよ、こう……ぽろっとな? ぽろってのは仕方無いだろ、うん、仕方無い。だから怒っんなって、バレてねえからさっ! ほらほら、仲間がやられてんだからオレ、助けに行かねえと。究極的に助けに行かねえと! だから行っていいよな? な? な?
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