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不思議なスライム
治ってない子
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「どうなってると思う?」

「毒消し草っていうか・・・まだ治ってなかったみたい。」

「だよなー。」

溜息をつく2人。
その原因は勿論、スラ子だ。

「キュー♪」

山頂・・・ではなく、ガルドの頭の上に居た。
険しい山道を登りきった登山者のように、満ち足りた表情をしている。
遭遇した時の怯えが一切ない。
あんなに震えていたのに。
理由は簡単。
何度もしつこいが、スッキリ爽やかなのだ。
頭の中まで!
自覚はないが、今のスラ子に恐怖という2文字は存在しない。
怖いもの知らずの状態である。

「キュー!」

んん?
両手を鳥の羽のように動かし始めた。
な、何をするつもりだ?

「キュー!」

鳥のように飛べる気がする、だと?
・・・・・・。
オッケーオッケー。
落ちつけ!正気に戻れ!よく考えろ!
もし飛んだら、こうなるぞ!
ピョン(飛び立つ)!ヒュー(落下する)!グシャ(地面の染みになる)!
だからな、ゆっくりと下りろ。

「キューーーッ!」

うおわっ!?本当に飛びやがった!?

「ちょ、ちょっと!?」

「危ねぇっ!」

シェリーが悲鳴を上げ、ガルドが咄嗟に手を伸ばす。
まさに間一髪。
見事にスラ子を掴んだ。
し、心臓に悪い。

「お、お、お前な!危ないだろうが!」

「キュ?」

ガルドは叫んだ。
しかし、恐怖が抜けているスラ子は・・・。
怒られた理由も、掴まれた理由も分かっていない。
首を傾げて、ガルドを見ている。

「はぁー。」

もう1度溜息をつき、地面に下ろした。
スラ子が普通の状態でないのは分かっている。
怒ったところで、意味がないのだ。
もっとも。
恐怖の2文字が帰ってきたら、猛省するだろうが・・・。

「キュー。」

疲れたスラ子は、宝箱の中に戻る。
ごろんと寝転がって、ぐーと寝てしまった。
うおーい!
無防備にも程があるぞ!?

「・・・寝たな。」

「うん、寝たね。」

「毒消し草のせいもあるが、今までよく見つからなかったものだ。」

「そうね。小人特有の特殊能力かしら?」

「ありえるな。妖精や精霊は稀に目撃されるが、小人は皆無といっていい。」

「伝承だけの存在だもんね。」

いやいや、小人が存在するかは知らないけど。
スラ子はスライム。
つい最近、人の姿になったばかり。
今まで見つからなかったのは当然。
でもこの調子だと、大勢に目撃されそうだ。
あれ?
そうなったら物珍しいと捕まり・・・高値で売られてしまう?
やばい!やばいぞ!

「可愛い寝顔♪やっぱり持ち帰りたいなー。」

スラ子の寝顔を見ていたシェリーが、ぼそっと呟く。
こっちもやばか
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