[番外編] 背教者ニコラスの逆襲
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リーファがあたしのとなりで弱々しく人指し指と中指でピースをつくり、
シリカは耳をぺたんと倒しながら困ったような笑みを浮かべた。
恥ずかしさが頂点をとおりこし――頬が熱いを通り越し、逆に冷たくなっていた。
なんとか視線を前にすると、NPCが記憶結晶であたしたちの姿をスクショした。
背教者ニコラス討伐の最中はすっかり忘れていたけれど、
このクリスマス限定ボスモンスター「背教者ニコラス討伐クエスト」はタイムアタックだった。
ようするに、何秒でボスモンスターを討伐できるかを競うクエストなのだ。
イベントの本質から考えれば、これはきっとカップルでパーティを組み、きゃっきゃっうふふしながら自分たちの出したタイムに一喜一憂し、思い出を刻むクエスト……のはず。普通なら。
そう――普通のカップルならまったく問題ないけれど、あたしたちは三人の女子パーティだ。恥ずかしいったらない。
あたしは大きくため息をつきながら、あたしとリーファ、シリカが叩き出してしまったタイムを見やった。
あたしたちのパーティが出した記録は現在一位。
さらに言うと二位以下をぶっちりぎりで突き放すベストタイム……だった。
いま取られたスクリーンショットは、ALO公式ホームページにタイム付きで掲載される。シリカが外部ブラウザを立ち上げ調べたところによると、上位十名までは顔写真が掲載「されてしまう」というとのことだ。
このことはクエスト受注画面に書いてあったらしいのだが、ある種のヤケクソに陥っていたあたしたちは、その記述にまったく気がつかなかった。
この場合、クエスト承諾=写真掲載承諾……となってしまうのでいまさら取り消せない。
SAOに捕らわれていたときには、決してサンタクロースにお願いなどしなかった。
でも、今日は違う。いまだけは違う。
指を組み、アインクラッドの天井を仰いで祈る。
お願い、サンタさん。
お願いだから、あたしたちより早いタイムの組をあと十人、お願いします――!
そうすれば、ランキングから足切りされて顔写真は載りませんから――!
「い、いらっしゃいませ……」
あたしが工房から顔をだすと、店内にいた何人かのM型妖精剣士が「リズちゃんキタ――!」だの、「リーファたんと、シリカたんも来るかな――!」だの、「ドジっ子、萌え――!」
だのといった歓声をあげた。
あたしは顔がひきつらないように注意しながら、ミーハーチックなお客さんたちの相手に笑顔を向ける。
サンタへの願いむなしくあたしとリーファ、シリカのトリオは、ALO公式ホームページで大々的に紹介された。
よくよく考えれば、あたしたちはサンタさんの元ネタである宣教師ニコラス
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