[番外編] 背教者ニコラスの逆襲
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ている。
「はいはい。二人ともここまで。あたしたちはあたしたちで、クリスマスを楽しもーか!」
まるで自分に言い聞かせるように、二人に言う。
そのまま二人の腕に腕を絡めて主街区へと引きずっていく。
「あ、ちょ、リズさん!」
「もう! い、いつも強引なんですよー! リズさんは!」
困惑気味のリーファと文句を言うシリカ。二人にあたしは胸を張って答える。
「いいのいいの! どうせあたしたちこのあと予定なんてないんだから! 寒いところでじっとしてるよりよっぽど建設的でしょ! さー! 気合い入れて限定ボスを討伐するわよ!」
リーファとシリカを引きずりつつ目指すのは、各領地首都とアインクラッド主街区に特設されたポータルだ。
そこからクリスマス限定ボスのいるインスタンスマップへ飛べる。
しばらく引きずっていると、心の整理がついたのか――もしくはヤケクソになったのか――リーファとシリカが自分の足を使いはじめた。
そう。きっといつまでもくよくよしているのはあたしたちらしくない。
わたしはあいつのように頬をつり上げてやりながら、雪をざくざく踏みしめて、ボスの待つポータルへ足をすすめた。
じつは、背教者ニコラスさんは今回のクリスマスにも参加していたのです。
新生したせかいのなかで、ニコラスさんは大斧とズダ袋をてに、インスタンスマップ「ツリーの森」で、侵入者をほうむっていました。
神たるカーディナル・システムの教典はただ一つ――プレイヤーの命を奪うこと。
でも、ニコラスさんは<<黒の剣士>>にまけてしまいました。
ニコラスさんはただしく、背教者、なのです。
背負うべき十字架も、彼をしばらう教義も、なにもありません。
ニコラスさんは、みにくい姿のイベントでした。
かれはくるのかな、こないのかな? ニコラスさんはじゃあくにゆがんだ頬をさらにしゅうあくに歪めて、まっていました。
でも、彼ほどつよいプレイヤーはまだあらわれませんでした。
はいじんと呼ばれる高スキルプレイヤーは、アインクラッドにいってしまったし、冷やかしにくるのはツガイのプレイヤーばかり。
これじゃあ、ニコラスさんも負けるわけにはいきません。大斧で彼らの魂をかりつづけ、ニコラスさんはまっていました。
そしてそのときはきました。三人のプレイヤーが現れたのです。
ケットシー、シルフ、レプラカーン。
戦槌、太刀、ダガーをそれぞれ構えた三人は、いつぞやの黒の剣士にひってきするほど、「いきて」いました。
ニコラスさんは、刹那――誇張ではなく、ワンセコンドの間――にりかいしました。
彼女たちこそ、まちにまったものたちであると。
彼女たちにほふられるために、いまここにいる
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