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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第二三幕 「今こそ立ち上がれ」
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ていられるの?その意を込めて今一度視線を送ると、佐藤さんは後ろ頭を軽く掻きながら、言葉を続けた。

『でもね簪さん。私、こう思うんだ』
「・・・?」
『自分に結果を変える力がなかったとしても・・・だからってそれはずっと震えて怖がってる理由にはならないんだ。人生だってそうでしょ?最後は死んじゃうってのはもう確定事項、どうあがいたって結末は変わらない。だからって“生きててもしょうがない”って皆自殺しちゃうってわけじゃないよね?』
「・・・・・・」
『だからさ。私は私に恥じないように・・・私に自分らしさや人としての在り方を教えてくれたモノ達に恥じないようにありたい。だから、私は怖くても強がりを続けたいんだ』

そういって佐藤さんはこちらに笑いかけた。思わず見とれてしまいそうなその笑顔は、私の短い人生の記憶の中でも、一番の輝きを放っていた。

『簪ちゃんはどう?』
「・・・わ、私、は・・・」

――私に自分らしさや人としての在り方を教えてくれたモノ達――その言葉を聞いたとき、彼女の脳裏にあるものが思い浮かんだ。それは趣味で見漁ったヒーローものの特撮やアニメ・・・どこにでも駆けつけて困っている人を救ってくれる画面の向こうの英雄(ヒーロー)達だった。

「私、は・・・」

簪は昔から内気で臆病だった。周囲から何を言われても耐える事しか出来ず、言い返したりする勇気がない・・・そんな中、彼女が夢中になったのがヒーローものだった。画面の向こうにいる彼等は――格好良かった。時にくじけそうになったら、負けそうになったりしながら、それでもあきらめずに敵を討ち破る。他人を助けるために命を懸ける彼らに簪は夢中になった。いつか自分の下にも、こんな格好いいヒーローが駆け付けてくれれば・・・そんな思いを抱くほどに。

「私は・・・」

そうだ、私にいつも希望や勇気を与えてくれた彼等こそが、“人としての在り方を教えてくれたモノ”ではないか?彼らは困難に陥った時、自分の様に臆病風に吹かれて進めなくなっていたか?否、断じてそうではなかった。たとえ一度立ち止まっても、最後には必ず勇気ある一歩を踏み出していたではないか。その姿に、何度も心打たれてきたではないか。その在り方に何度も憧れを抱いたではないか。

「私は・・・!」

逃げたくない。私の心の中で輝くヒーローたちが与えてくれた熱く優しい“魂”を、消したくはない。

アンノウンと戦う二人を見る。たった今、アンノウンから再び放たれようとしたビームをそらさせ、熱量と閃光がアリーナを照らした。二人とも悪戦苦闘しながらも、一歩も引こうとしていない。優しく諭してくれたユウも、そのユウを手伝う凰さんも、取り残された生徒たちを守るために必死になっている。その姿を見て、私の心の奥底にある炎が燃え上がった。心臓が
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