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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第二三幕 「今こそ立ち上がれ」
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死。その明確で恐ろしい一文字が脳裏をよぎる。簪とて更識の家に生まれた以上、命がけの戦いをする覚悟くらいは決めているつもりだった。だが、そんな覚悟は無いも同然だと言わんばかりに未確認ISは攻撃してきた。パイロットの顔は装甲の所為で見えないが、簪にはその顔が嗤っているように見えて仕方がなかった。
視界が白くなる。全身の毛孔が逆立ち、背筋が凍るような感覚に身が竦む。

「・・・簪ちゃん」
「! な、なに?」

不意に隣のユウから秘匿回線(プライベートチャンネル)が入る。未確認ISの放つ威圧感に呑まれそうになっていた簪は我に返った。

「幸か不幸か、今の砲撃で非常出入り口の隔壁が吹き飛んだみたいだ。僕があのISを引き付けるから今のうちに皆を連れて急いで逃げて!」
『ちょ、ユウ君何やってんの!?そこは皆で逃げるところでしょーが!!』
「頼んだよ!」

そう言うや否や、佐藤さんの静止を無視してユウは未確認ISの元へ突撃していった。しばらく呆然とした簪は、遅れて状況を理解する。
非常出入り口はIS一機が入れるギリギリの大きさをしている。万が一皆が逃げる途中にあのビームが非常口に向けば、脱出中の人間はひとたまりもない。あの大火力だ、下手をすればシールドエネルギーを根こそぎ持って行かれて死亡、なんてこともありうる。
だからその間彼はあのデカブツを引き付けておくというのだ。

「あの馬鹿っ!アンタ・・・簪だっけ!?後ろの子たちを頼んだわよ!あたしはユウのフォローしに行くから!!」

続いて中国の代表候補生もアンノウンへと突っ込んでいく。あちらを見れば、既にユウは懐に入り込みアンノウンへ攻撃を叩き込んでいる。が、重量の差もあってかあまり有効打は与えられていないようだ。風花は反応速度こそ通常のISを大きく凌駕しているが、純粋なパワーでは打鉄と大差がない。重装甲型ISは風花にとって最もダメージが与えにくい相手なのだ。

『鈴ちゃんまで・・・あーもうこの戦闘民族共め!みんな今のうちに脱出して!二人がアンノウンを引き付けている今がチャンスだよ!!』

金縛りにあっていた生徒たちは佐藤さんの声にようやく体を動かし、悲鳴を上げながら我先にと非常口へ殺到する。だが、簪は足をそちらに向けなかった。いや、向けられなかった。

だって、あそこで友達が戦っているのに。

自分たちの逃げる時間を稼ぐために、あんなに大きな敵と戦っているのに。

――私は逃げて良いの?本当にこのまま逃げて、いいの?



 = =



「このっ・・・!素手じゃ分が悪いか!」
「何やってんの!そう思うならさっさと武器を展開しなさい!」
「鈴・・・!?」
「見くびらないでよね!アンタ一人置いてコイツに背を向けるなんて真っ平よ!てりゃぁぁぁ!!」

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