十三話
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
『ねー、そろそろ諦めたら?』
(馬鹿いうな、こんなところで諦めるわけないだろう)
『でも、多分もういないと思うわよ?』
(いや、いるはずだ! 絶対いる!)
『はあ、一週間も前の話なのに待ってるわけないじゃない』
(まだ三日も経っていないはずだろ)
『残念だけれど崖から落ちて四日気絶していたわよ』
(そんな馬鹿な……)
『貴方が馬鹿なんでしょう、森で迷子になって崖から転落するなんてマヌケな真似する奴、初めて見たわよ』
(ぐ……)
俺は今谷底でうろうろしている。理由は先程照姫がいった通りで、道なき道をひたすら前進しているわけだ。
『まああの三人は大丈夫じゃない? 一カ月前は貴方なしで旅をしていたんだし』
(まあそうだが、心配かけるだろ?)
『そうでしょうけど、最終的には「死んでないだろう」ってなるんじゃない?』
否定したいが、確かにあの三人ならいいそうだ。
『それで、これからどうするのよ?』
(そうだな、どっか近くに村がないか?)
『えーと、そのまま十キロ先に村があるみたいよ』
(ならそこに向かうか)
俺は冷え切った足を動かして、谷をひたすら進んでいった。
◆
結局村に着いたのは朝になる頃で、俺はそのまま宿に泊まろうと大通りを歩いていた。
(なんだか騒々しいな、なにかあったのかこれ?)
『どうやらそうみたいよ』
最近はどこも物騒だなーと思いながら宿屋を見つけ、泊めてもらおうと女将に話しかける。
「忙しそうなところすまん、泊めてもらいたいんだが」
「ごめんなさい、今はそれどころじゃ……あ、貴方もしかして剣客さん!?」
「へ? まあ一応剣客ではあるっちゃあるが」
「お願いします! この村のために賊を討伐してください!」
女将に泣きつかれ、俺は狼狽しながらも詳細を聞く。
「あー、とりあえず賊は今どこに?」
「村の先の西方向に約一千います! ですが私達の村は戦える人がわずか五百……陳留の州牧様も到着は遅くなりそうで」
「はあ、分かったが、とりあえず、飯と薬くれるか? 一週間も森で彷徨っててな」
「あ、ありがとうございます!!」
俺は飯にありつき、特に大きな外傷はなかったが念のために所々の傷に薬を塗る。
「さて、それじゃ久々にがんばるか」
『ええ、たったの千なら余裕ね!』
俺は女将にお礼をいい、西門に向かって歩いていく。
西門につくとどうやら村の男達が集まっているようで、皆クワや鎌を持って賊が来るのを待っていた。
「すまん、今賊ってどこにいるんだ?」
俺が一人の男に話を聞くと、男は震えながら小さな声で教えてく
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ