十二話
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旅を出て半刻ほど、俺は突拍子もなく二人に問いかけた。
「そういえばまだ趙雲以外名を聞いてなかったな」
「あー、そういえばそうでしたねー」
「村では領主さんの話ばかり聞いていたものですから」
二人は思い出したように申し開く。
「私は程立と申しますー」
「私は戯志才と申します」
しゃべり方が正反対な程立と戯志才に、俺はもう一度自分の名を名乗る。
「俺は稲威だ。これから迷惑かけると思うが、よろしく頼む」
「いえいえー、どちらかといえば稟ちゃんのほうが迷惑をかけると思いますよー」
「こら風! 何故そこで私なのだ!」
程立の謙遜に、戯志才が頭を綺麗に叩きツッコミをする。
この二人中々良いコンビっぽいな。
「それでは自己紹介も終わったところでだ、次の目的地を決めようではないか」
趙雲が締めくくり、話を変えるように手を叩く。
「そーですねー、私は前回決めさせてもらったのでどこでもいいですよー」
「それをいうなら私もです。それに別段いきたい場所もないですし」
「まあお主等はそういうだろうと思っていた、私もだがな。それでは稲威殿、どこか行きたい場所はないですかな?」
流れるように話を振られ、俺は少しばかり悩む。
よく考えれば俺ってこの大陸の地理微塵も知らないんだよなー。それにいきたい場所なんてのも考えてなかったしな……
『それなら断然洛陽ね!』
(洛陽? どこだそこは)
『この大陸の都よ。そこにいけば色んなことを知ることができるわ』
(なるほど、だがあえていおう、絶対にいかねえ!)
『なんでよ! 今はこの大陸のことを知るのが先決でしょ!?』
(ふ、分かってないな照姫よ)
『どういう意味よ?』
(まず一つ、今の旅の仲間をよく見ろ)
『槍女と幼女と眼鏡じゃない。それがどうかし……は!?』
(そうだ、眼鏡だ。これほど頭の良さそうなキャラに教われば洛陽にいく必要などない)
『いいえ、でも新しいキャラには眼鏡でも頭のよくないキャラだっているわ! 銀○の新○とか!』
(残念ながら照姫よ、ここは昔の時代。新しいキャラなぞおらんのだ!!)
『な、なんですってー!?』
(さらにだ、真面目にいえば洛陽にいったところで情報しか手に入らん。俺達が今求めているのは天下をとる人物だろ?)
『それもそうね……なら北に向かうのはどう?』
俺の意見に照姫が賛同し、俺の案に合うよう方向を指定する。
『北なら有力な勢力も結構あるだろうし、なにより魏と蜀があるからね』
照姫が少し自信ありげに説明するが、魏と蜀という言葉がどんなものだったかあまり覚えてない俺は首をひねった。
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