十二話
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てください!」
細目男がぽつぽつと喋り出し、俺が、最初からそういえばいいんだよ、と愚痴ると、戯志才と程立が少し蒼褪めたような顔でこちらを見ていたが、気づかないふりをして細目男の話を聞いた。
「それではまずは自己紹介を。私は宋栄と申します。そしてあそこで戦っている男が司兵、私の相棒です」
「てめえの相棒とかどうでもいいっていってんだろうが。さっさとその司兵とやらのことを話せ」
「分かりましたから! あともう襲いませんので剣を取ってください!」
細目男が細目に涙を浮かべながら俺に訴えてきたので、舌打ちしてから渋々太刀を背負い直す。
「えーと、それでですね。実は司兵は昔、呂布軍に仕えていたことがあったそうで」
細目男、宋栄が服についた土を払いながらそう語り、趙雲と戦っている司兵に顔を向ける。
「呂布軍の副隊長になったこともあるのだとか。まあ奴は気まぐれらしく途中で辞退して旅を始めたらしいのですが」
そこでお前が誘ったのかと聞くと、ええ、と若干苦笑いしながら答えた。
「なんでも今の時代を知りたかったらしいんですよ。それで色々教えていたら一緒に行動するようになりましてね」
よく助けられましたよ、と頭を掻く宋栄。
趙雲と司兵はまだ戦っているらしく、未だ激しい攻防が続いている。
「で、お前はなんで追剥なんてしてるんだ?」
「それはこのご時世だからですよ、現に最近賊の数が飛躍的に増えているらしいですしね」
「ええ、なんでも黄色の巾を身に着けているらしいですね」
戯志才が眼鏡をくいっと上げて補足し、同時に程立も頷く。
「ですねー。なんでも張角という者が原因らいいですけどー」
張角ね、やっぱりもう騒ぎが起きているわけか。
「まあ今回は見逃してやるが、次に襲って来たらその首跳ね飛ばすからな?」
「ええ、もうそのような失態は二度といたしませんとも。ああ、そうだ、貴方お名前は?」
「稲威だ、字はない」
「稲威殿ですか。覚えておきましょう」
それでは失礼。と頭を下げた宋栄は、未だ激戦を繰り広げている司兵を呼び、司兵が後退するように宋栄の下に帰る。
「それでは重ね重ねすみませんでした。では、御機嫌よう」
森の中に消えていった二人を見て安堵すると、趙雲が歯痒い顔で戻って戻ってきた。
「あやつ只者ではありませんな。かなりの手練れのようだ」
「なんでも呂布軍の副隊長だったらしいですよー」
「なに、それは本当か!?」
趙雲が驚きの声をあげる。というより呂布軍の副隊長相手に互角の戦いをするとは。もしかして挑発してなかったらやばかったか?
「とりあえず後で話してやるから、さっさと森を
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