暁 〜小説投稿サイト〜
蒼天に掲げて
十二話
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と、似てるようで似てないわね。その御遣いは死なずしてこちらの世界に来たってわけ』

(ということは、その未来の体のままでこちらに来たと?)

 それなら俺も元の体のままでよかったんじゃないかと思ったが、俺がいうより先に照姫がくぎを刺す。

『ええ、でも貴方の世界と違って“この世界の未来”だから毒とかの抵抗は心配ないわけ』

(なるほど、てことはこの世界の歴史を知ってる未来からの使いってことか)

『そうなるわ。だから貴方の記憶より鮮明に残っていてさらに的確ってわけ』

(それならそいつの下にいけばいいんじゃないか?)

『いえ、それでもその御遣いがこの歴史に関わった瞬間から御遣いにとっても外史になるわけ。歴史が変わるからね』

(つまりは御遣いの歴史からも変わるわけか。しかも俺も関わっているわけだしな)

『ええ、だからその御使いのところが一番ってわけではないの。それにアイツがいるってことも知らないでしょうしね』

(ああ、そうだったな。ならまあ、俺の気に入ったところでいいか)

『そうしてくれれば助かるわ。
 そういえば柏也、賊がちょっと近くにいるんだけれど、分かってる?』

(四方に八人、それと後ろで二人固まってるな)

『よくそこまで分かったわね』

(昔ジジイに、目で見るな! 気配で察せ! といわれてな)

『あのお爺さん実は仙人なんじゃないの?』

(案外そうかもしれないな)

 あながち冗談でもなさそうだと二人で呟き、照姫がコホンと咳払いをすると、話を元に戻した。

『それじゃとりあえず、三人起こしたら?』

(そうだな)

 ということで三人を起こし状況を説明する。若干起きてるのか寝ているのかよく分からない奴が一人いたが、まあ頭の人形は起きてるだろと考え、皆で対策を練った。

「要するに四方から囲まれているのですね?」

 戯志才が確認のために聞いてきたので、頷く。

「それでしたら全員で一方向に前進すれば良いのではないでしょうか」

 すると戯志才がすんなりと解決策を講じたので、俺は感嘆の声を漏らす。

「それもそうだな。それにしても、戯志才は頭良いな。まあ俺が頭悪いだけかもしれないが」

「この程度は余裕ですよ。それに私達は軍師になりたいのです。ちなみに風もですが」

「おー、そういえばお兄さんにはいってませんでしたねー」

 戯志才と寝ぼけ眼の程立にいわれ、なるほどと相槌を打つ。

「話はすんだようだな。それでは前進で良いのだな?」

「はいー」

 趙雲がニヤリと笑いながら槍を構え、北に向かって走り出す。
 俺は程立がえっちらおっちら走ってるのを見守りながらしんがりを務める。

「背負った方がいいか?」

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