十一話
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趙雲が褒め称えるが、実際は照姫に教えてもらったので喜べなかった。
「でもお前が勝手に決めていいのか? 他の二人にもそれぞれ意見はあるだろう」
「ああ、それは既に話してあります。二人共快諾してくれましたぞ」
「そうか、じゃ、明日立つんだろ?」
「ええ、その予定ですよ」
そうか、と相槌を打って俺は立ち上がり、趙雲に、挨拶してくると伝えて、少し真剣な顔で広場の真ん中へ歩いていく。
「えー、重大発表があるんで聞いてくれ」
そして、いつもジジイが皆の目を集める行動を真似し、皆をこちらに向ける。
「俺は明日、旅に出るからな。 以上で終わり、宴会を続けてくれ」
皆が一斉に静かになり、俺が一人コツコツと自分の家へ帰っていく。
「「「「「「「「「「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇ!?」」」」」」」」」」
俺がぴしゃりと扉を閉めた直後、広場で大音声が聞こえた。
◆
結局あの後、村の皆が俺の家に押しかけて準備どころではなくなってしまった。
やれ「どこいくの」だの、やれ「文ちゃんをお嫁さんにするんじゃなかったの」だの、やれ「なに!? 文よそれは本当か!?」だの、まったく別の話が大いに盛り上がり、最終的には「帰ってこいよ」で皆解散した。
「どいつもこいつも好き放題いいやがって、帰ってきたら全員蹴りいれてやるからな!」
と、俺もまくし立てるように怒鳴り、準備が終わる頃には外は朝日が照っていた。
「じゃ、いってくるぜジジイ」
忘れ物がないか確認し、最後にジジイへ挨拶をする。
「ああ、気をつけるんじゃぞ。それからたまには手紙でも寄越すくらいはするんじゃぞ」
「分かってる、もちろん俺のやることが終わったらここに帰ってくるさ。それまで生きてろよジジイ」
「お主こそ、どこぞの戦場で野垂れ死ぬんじゃないぞ?」
「バカいうな、俺はジジイに育てられたんだぜ? そんなヘマしねえよ」
「はっはっは、いうようになったわい」
「ジジイの孫だからな」
そして沈黙にならないよう、大声で別れを告げる。
「じゃ、いってきます!!」
「ああ、いってこい」
そして扉を開けると、そこには趙雲達と、文の姿が。
「はぐや゛ー!」
俺に駆け寄ってくる文を受け止め、泣きじゃくる文をあやす。
「あーあー、なに泣いてんだよお前。帰ってくるっていったろ?」
「う゛ん、でも私も一緒にいぎだがったの」
俺は泣き止まない文の頭に手を乗せ、わしゃわしゃと撫でまわす。
「この村で俺とジジイの次に強いのはお前だろ? ジジイはもう爺だし、
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