十一話
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「当然だろ? ああそれと宣言してやるよ、次の一発で俺が勝ってやろう」
「なんだと?」
趙雲が訝しげな顔でこちらを見やり、今度は逆に俺がニヤリと笑う。
「次に同じ攻撃すればお前の負けだっていってんだよ? なんだ? 宣言されるとできないのか?」
「いいだろう、次は貴様の胴に風穴を空けてやる!」
俺の挑発に趙雲が乗り、神速の突進を俺に放つ。
さて、カッコよく宣言した手前失敗はできそうにないな。
神経を集中し、趙雲の槍を捉える。
ガシッ! という音と共に趙雲の動きが止まる。
「……なに!?」
俺の手には朱い槍があり、趙雲は俺が素手で掴んだことに驚く。
「なんで俺がお前より遅かったか教えてやろうか? そりゃな、このクソ重い武器振り回してたからだよ」
俺はそのまま趙雲の腕を掴み、ぐるんと一回転させ、朱い槍を奪い取った。
(ちなみに俺はまだ、耐久の能力を使ってはいない!)
『こっちでいう必要性ないわよ!』
(いや、いいたいんだけど、なんか図々しいだろ?)
『もう既に十分図々しかったわよ!』
「さて、これで勝負ありだな?」
「ああ、参った。私の負けだ」
というわけで、俺は旅に出れることとなった。
◆
あれから時間が経ち、現在夕飯時。
俺と趙雲の戦いを見て村人のテンションがお祭り騒ぎになり、宴会を開くこととなった(まあ決闘の時から宴会だったけど)。今は全員酒を飲みながらワイワイと騒いでいる。
「それにしても、まさか私の槍を掴まれるとは思いませんでしたぞ」
そして俺の隣には、趙雲が少し火照った顔でこちらを見ていた。そして俺と趙雲どちらの手にも、杯に酒が酌んである。
「そうかい、でもあの速さを掴まえられたのは偶然だ。今やれば絶対失敗する」
「おやおや、昼とは打って変わって弱気ではないですか」
「ああ、そりゃお前昼間は煽っていただけだ。ジジイが選んだ武人だから絶対強いと思ってな」
「ほう、それは嬉しいですな。お主に強いと称されるとは」
「おだてなくていい、それよりもだ。なんでさっきから俺とばかりしゃべろうとする? 向こうに酒もあるぞ」
「おや、ダメですかな?」
「いや、ダメとはいってないがな」
「なら良いではありませぬか」
そういってにこりと微笑む趙雲に、なんだかドギマギする。なんてこった、こうも可憐な笑みを見せられたら男なんかケロッと落ちちま――
「はくやーーー!」
ズドンという衝撃と共に、その雰囲気は吹き飛び、ついでに俺も吹き飛ばされた。
「ってえ、なにしやがる文!?」
「だって柏也がさっきからずっとおしゃべりしてるんだもん!
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