十話
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の仕事場に着いた。
「さて、またなにいわれるか分かったもんじゃねえが、いくか……」
どうせ拒否ってくるだろうから無理矢理になるだろうが、そこは仕方ない、諦めてジジイと喧嘩でもするか。
「おいジジイ、俺は旅に出ることにしたぞ」
俺が扉を蹴破って部屋に入る。
と、そこにはジジイだけではなく、三人の旅人が驚いた顔でこちらをみていた。
◇
「ふむ、風、いつ頃村に着くのだ?」
「ねえ稟ちゃん、いつになったらその村に着くんですかー?」
「そんなこと私に聞かないでください!」
私達は今、とある村を目指しておる。なんでも一度は飢餓でなくなりかけた村を、とある二人組が村に住み着き、村を豊かにしたのだとか。
さらにそれからというもの、その村は次第に発達し、商人達の話題にもよくあがる村になり、さらにさらに二人組が住み始めた時期、この近くにいた賊共が一斉に姿を消したのだとか。
「早く見たいものだな、その二人組とやら」
「そうですねー、風も早く見たいです」
「あ、二人共、あれじゃないですか?」
そういって稟が指差す方向を見てみれば、確かに村のようなものが小さく見えた。
「おお、でかしたな稟」
「本当に良かったです。でもなんで眼鏡をかけている稟ちゃんが一番最初に発見したんですかー? 普通私たちの方が目はいいと思うんですけどー」
「私だって知りませんよ!」
二人のやりとりを微笑ましく見守り、私達は少し足取り早く、村に向かって歩き出した。
◆
私達が村の入口に着くと、門番が二人私達に近づいて来た。
「旅人か、この村になんのようだ?」
「はいー、風達はここの噂を聞いて立ち寄った者ですー」
風が柔らかな口調で門番に告げる。それを聞いた門番一人の顔が少し赤くなっており、なるほど、この門番はそういう趣味かと納得した。
「ああ、そうですか。ではどうぞ」
もう一人の門番もにこやかな笑顔で通行を許可し、大通りらしい道を歩き出す。
「意外と簡単に通してもらえるのだな、貴族の者達の町ならこうはなるまい」
「ええ、そうですね。やはりこの村の領主はすごい人なのでしょう」
稟がどこで買ったのか本を読みながら私の独り言に参加してきた。
「そうなのか? どちらかといえば簡単に通すとまずいのではないか?」
「そうともいいますけど、あの門番の二人を見れば話は別ですよー」
私の問いに今度はどこの店で買ったのか棒付の飴を舐めながら風が答える。
「私は普通の門番にしか見えなかったが」
「ええ、見た目は普通の門番でしたよ」
「ですが星ちゃん、あの人達の目をしっかり見ましたかー?」
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