九話
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ン?」
もう一度探したが見つからず苛立ちを押えながら怒鳴ると、下から声が聞こえた。
「こーこ! ここだって」
ここここうるさいので下を見やると、ちょうど俺の鳩尾ほどの身長の女の子がこちらを見ていた。
「誰だよお前?」
「私は王朗、字を景興、真名は文っていうんだよ!」
おーおー元気なあいさつだな。
感心しながら少女の頭を撫で、先程の少女の言葉に疑問を持つ。
「ん? 文っていったな、真名ってなんだ?」
俺の疑問に、少女は嬉しそうに目を細めながら説明する。
「真名っていうのはねー、本人が心を許した人にしか教えない名前で、本人の真名を呼ぶとね、問答無用で斬られちゃうんだって!」
「なに!?」
そんな設定が三国志にあったのか。
「てことは、俺がお前の真名を呼ぶと問答無用で斬り殺されるのか」
なんて怖い世界だ、と頭を抱えると、少女は不思議そうに首を傾げながらこちらを見る。
「なんで? 私はちゃんと真名名乗ったでしょー?」
「ん? ああ、確かに名乗ったな」
「その人から真名を名乗ってもらうとね、真名で呼んでいいんだよ?」
少女の発言に俺はほっとする。まあ真名を呼べば斬り殺されるなんて、そんな必要性のない名なんてないよな。
「てことはお前は俺に真名で名乗っていいっていってるのか?」
「そうだよ!」
なるほどな、信頼できる相手ならいいわけだ。なんでこの少女、文に許されたのかは分からんが。
「ふむ、なら文、真名しかないときはどうすればいいんだ?」
俺には柏也って名しかないから、俺が許してないのに真名を呼ばれるってことは、そいつら全員斬り殺してもいいってことだよな。……中々怖いことができそうだな。
「え? 柏也真名しかないの? なら私が名を考えてあげる!」
ん? なにか勘違いしてないこの子?
俺がつけてほしいのは名ではなくて真名だけの場合どうすればいいかであってだな。
「えーと、「すいーと」、「ふれっしゅ」、「すまいる」とかがいいかな?」
「まてまてまて、そんな名はよせ!」
なんかどこかで聞いたことあるタイトルみたいな名前はやめろ!
「じゃあ、んーと、「どきどき」?」
「じゃあ、じゃねえよ。もっと無難なやつにしろ、とりあえず今までのはダメだ」
「んー、じゃあ「とうかい」はどう?」
「とうかい……稲威ね、よしその名にしよう」
ようやく無難な名が出たので即刻決定し、漢字を自分で考えて当て、少しカッコいい名前にする。
ん? カッコいいよな? 俺のセンス間違ってないよな?
「わーい、じゃあとうかいね! とうかいの真名はなに?」
「ん? ああ、も
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