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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第29話 悲劇
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せいで……っ、ぼくが、しっかり、してなかったからっ……、 ぼく、ぼくの……』
何度も何度も自分を責め、涙を流す少年。
いったい、これは誰だと言うのだろうか?
いや、自分には、リュウキには判っている筈だった。 これは、この姿は嘗ての
自分の姿
(
・・・・
)
なのだから。
それを理解したその瞬間、その映像は露と消え、再びキリトの姿に戻した。
「……立て。キリト!」
リュウキはキリトの腕を掴み立たせた。
「ッ……!」
その目は後悔の念で満ちている……リュウキを見ることが出来ていなかった。その姿もダブって見えてしまう。
あの映像の少年の傍に居てくれた彼に、自分もそうしていたから。
「……もう、何をしても何を悔やんでも、死んだものは戻らない。……後悔するくらいなら今すぐ行動するんだ」
リュウキは、キリトにそう言い聞かせた。まだ、今はまだ、出来ることはあるのだから。
――……あの時と違って。
「こう……どう……?」
キリトの目は……、次第に、リュウキの目を見ることが出来ていた。
「まだ……残っているだろう。……彼女のところへ行ってやれ。彼女だって、辛い。……絶対に辛い筈なんだ」
その次には、リュウキの目は厳しいものから、優しいものへとなっていた。
それを訊いたキリトは、サチの事を、サチの顔を思い出した。転移結晶で逃げる時も、まだその顔は恐怖で彩られている。
何もわからず混乱と恐怖が等しく混ざっている。 街に戻っても、それが治る事は無いだろう。
だからこそ、1人にはしてはいけないんだ。せめて、仲間が戻るまでは。
そう結論をつけると、キリトは覚束ない足取りで、1歩、2歩と歩き、震える指先を操って、転移結晶を取り出し、この場から姿を消した。
「…………」
この場に残ったリュウキは、再びキリトの姿を自分の前の姿に重ねてしまっていた。
あの悲しき記憶、奥底に封じてしまった記憶の源泉。
自分のせいで……仲間が失われた。思い上がりが……仲間を失う結果になった。キリトのその言葉は、揺り起こす結果となったのだ。
自分の過去の記憶を。
「……ッ!!」
ズキリと体の心に突き刺さるような痛みを感じた。
「感情を……殺せ。………後悔の念を……押し殺せ……。もう誰も喜ばない。そんなのは……だれも……喜ばない……はずなんだ……。爺やに……爺やも言っていたじゃないか……」
ゆっくりとした足取りで、リュウキはこの場から離れていく。
「今……この世界でも 向こうの世界でも………生きる為に不要な事なんだ……。過去の念なんて……。枷になるんだから……。望
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