暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第29話 悲劇
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る悲鳴とは種類が違うのだ。
 そう……痛みを通り越し……死を感じるかのようなものだった。死がもう直ぐ傍にまで近づいているかの様な、そんな気配だ。
 だからこそ、直ぐにリュウキは行動を開始した。 精神集中し、周囲を視渡す。極限まで聴覚も研ぎ澄ます。……使える五感の全てを、集中させた。

 まだ、あの断末魔と言える悲鳴は続いて聞こえてきている。

 悲鳴の聞こえてきた位置の大体を把握する。そして、頭の中のマップ情報、既存に備え付けられたそれよりも遥かに高性能、高詳細のマップを立体上で呼び出し、聞こえてくる声の位置を当てはめた瞬間。
 ……リュウキの身体に、戦慄が走った。

「ッッ!! あの(・・)トラップの部屋かッ!!」

 リュウキは、全て理解した。
 そして、理解すると同時に、武器を収めると、鍛えた敏捷力(AGI)にモノを言わせ、素早く動きだした。


 その部屋を知ったのは、つい先日の事だった。

 この迷宮区で、トレジャーボックスが部屋の中心にある部屋。それも入口が隠された部屋を見つけたのだ。そして、それを見つけた時は、出入り口が見えない為、レアアイテムが入っているのではないか、とも思った。
 だが、その部屋の中に入った瞬間、何か嫌な気配を感じた。それ故に、反射的に意識を集中させ、視渡したのだ。 すると、その部屋で感じた嫌な気配が何なのかを悟った。

 感じるのは壁の奥に存在する禍々しささえ醸し出すモノ。壁を構成するデジタルデータが歪んで視えたのだ。何重にも重ね掛けをしている様なそのデータがそこにある理由。それは1つの解を示していた。

 ただの壁ではない、無数のデータが奥に存在する。

 即ち。

『なるほど……。この宝箱を開ければ発動するトラップかの類か。これを開けたその瞬間にでも、この部屋は敵で満たされそうだ』

 無数のデータが、不自然に壁に集合している。……壁の奥のデータが視えたのだろう。モンスターのデータが。

 確かめる為に、リュウキが宝箱を開けると案の定。けたましいアラームが鳴り響き渡り、この部屋が赤く染まった。

≪Warning≫

 と言う……英文が躍り出る。あのはじまりの街。全てが始まったあの日の血の様に赤い空の様に。

 そして、その部屋は瞬く間にモンスターで満たされた。それだけではなく、入口も固く閉じられてしまったのだ。

 所詮は下位の敵なのだが、その敵の量だけは異常だった。

 もしも、このトラップに掛かってしまったプレイヤーが 安全マージンを取れてないとしたら?いや、取れていたとしても、プレイヤーの数が少なければ?

 結果は火を見るより明らかだ。


「クソッ!! 間に合え!」

 リュウキは脚に力を込め、地面がまるで焼け
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