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魔法少女リリカルなのはStrikerS 〜賢者の槍を持ちし者〜
Chapter10「クラナガンでの二人」
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あ…会いたくて仕方がない相手への想いが込めらているらしい」
「はっはっ、まるで恋歌みたいやな」
まるでではなく丸っきりそうだ。証の歌は元々クルスニク一族の始祖ミラ・クルスニクがマクスウェル召喚の際即興で作った歌がその大元。曲名こそらしい物ではあるが、実際の詞はそれほど上品なものではなく、童歌でもあり恋歌でもあった事を源霊匣マクスウェルがその口で語っていた。
だがそれでもこの歌がマクスウェルにとって大切なものなのは変わらない。
無論ルドガーにとっても。
「…兄さんがよく好んで歌っていたんだ」
「ルドガーってお兄さんおったんか!?」
ユリウスという兄がルドガーにいた事に過剰とも取れる驚きを見せるはやてに苦笑するルドガー。
あまり自分の事を話さないから突然の事に驚いたのだと解釈する。
「そんなに驚く事かよ?俺と兄さんは母親は違ったが、俺にとって兄さんは大切な家族で兄でもあり父親でもあった」
「父親?」
ユリウスを父親でもあると表現するルドガーにはやては疑問を持つ。
普通弟が兄を父親と表現する事はそれほどない。
あるすればそれは……
「想像通りだ。俺達兄弟に両親はいないし俺は顔も知らない。俺の家族は兄さんとルルっていう少しポッチャリした猫一匹だけだった」
「…そうやったんか」
「重い話しをして悪かったな」
「何でや」
首を横に振り立ち止まりルドガーを見る。
「ルドガーは自分の家族の話しをしただけやろ?それに私は嬉しいんや」
「嬉しい?」
「私、正直ルドガーの事を知りたかったんや。初めてルドガーと出会った時から」
そしてはやてもルドガーに何故そうも出会ったばかりの人間にそんな事を思ったのかを……そして自分の生い立ちを含めた事全てを……
「…はやて……」
「あははは!悪かったわぁ〜私もお返しに自分の事話したくなったんやけど辛気臭かったな」
何とも言えないような表情のルドガーにやはり話すべきではなかったと思ってしまう。自分のやった事は聞いた人間により取り方が180度変わってしまう。経験上はやて達に同情する者や犯罪者扱いする者も少なくはない。ルドガーはどちらになるのか気になってしまう。もし軽蔑されたら仕方ない。
暫くルドガーの口が開く事を待ち、そしてルドガーが話す。
「はやては……今までの自分が選んできた選択に後悔はないのか?」
「えっ?」
ルドガーから出た言葉は前者と後者の言葉を待っていたはやてにとっては予想していなかった言葉だった。
「後悔は…しとらん……私はたとえ何度生まれ変わっても、必ず同じ道を選ぶはずや」
「……そうか……やっぱりはやてと俺は、はやてが言うように似ているのかもしれないな」
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