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イーゴリ公
第一幕その二
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すから」
「わかった」
 彼もこう言われては仕方がなかった。引き下がることにしたのだった。
「それでは」
「お待ち下さい」
 だがここで声がした。見れば王女の侍女がそこに来ていた。
「この方はいいのです」
「宜しいのですか?」
「王女様が責任を持たれますので」
 侍女はそう兵士に告げたのだった。
「ですから」
「左様ですか。それでは」
「はい」
 兵士に対して何かを渡した。そうして彼を去らせた。侍女はそれからまたウラジミールに顔を向けて告げるのであった。
「どうぞ。御行き下さい」
「申し訳ありません」
 ウラジミールはその彼女に礼を述べるのだった。
「このようなことをして頂いて」
「王女様の為です」
 侍女はそう答えた。
「ですから」
「わかりました。それでは」
「王女様がお待ちです」
 そう告げて彼女も姿を消した。ウラジミールはその彼女に感謝の情を抱きながら一人思うのだった。

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