GGO編
episode2 音無き決戦
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る。
先にあるサボテンを掩体物に使うような軌道で走っているから、その先で撃ち殺してやろう。なあに、替えの弾はいくらでもある。外してもこうして射線で追い続けていれば、いつか避けきれなくなるのは向こうだ。
ゆっくりとトリガーに指を添え。
スコープの中に、彼を……サボテンを捉え。
その体が、サボテンに隠れて。
次の瞬間、その体が、まるで魔法の様に消滅した。
◆
判断は、一瞬。そして、チャンスも一瞬。
「ッ……!!!」
俺を狙ってその巨大なスナイパーライフルを構えているであろう、死銃。
その視線から逃れようと旋回する俺の前に現れた、巨大なサボテン。
それを使って掩蔽するように、その陰に突っ込み、
「―――ッッッ!!!」
渾身の力で急ブレーキ、進行方向を百八十度変えて跳躍した。
人間の目には、生まれながらにして「動いている物体の先を予想する」という機能が備わっている。それはたとえ自分では無意識だったとしても、生物的本能として咄嗟に反応してしまうものだ。こういった遮蔽物に高速で物体が隠れた場合、人の目は「その向こうから飛び出してくる物体」を脳内で勝手に推測してしまうように、出来てしまっている。
そのことを知らない人間には、その効果はますます高まる。それに、賭けた。
「っぅッ!」
無理な力を加えた体が軋む様に疼痛を発するがそれを精神力で黙殺、ただただ前だけを見つめて、死銃の方へと一直線に駆け抜ける。もう蛇行する意味は無い。この距離なら、最短、最速で接近するしか道は無い。
銃撃は、来ない。
奴が一瞬だけ、俺の体を見失った証拠。
この一瞬で、百メートルの距離を詰める。
常識で考えればまず不可能なことを、出来ると信じて駆け抜ける。
出来る。出来る。たとえ、出来なくても。
(……死ぬ時は、前のめりに倒れて死ぬ!!!)
燃え盛る想いを胸に、限界を超えてその足を加速する。
引き延ばされた視界で捕える、死銃の影との距離は、もう五十メートルもない。
あと少しで、この手が届く。
だが、その手が届く、希望の見えたその瞬間。
ゆらりと蠢いた影から伸びたバレットラインが、俺のヘルメットを捉え。
轟音と衝撃が、頭から全身をを震わせて貫いた。
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