GGO編
episode2 音無き決戦
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地に突き刺さって特徴的なスパークを放つその弾丸は、電子スタン弾。これを受ければアバター末端に掠っただけでも僅かとはいえ一定時間の行動不能を課せられ、必殺の大口径銃の一撃でゲームオーバーだ。防ぐことも、指先に掠らせることも、出来ない。
だが。
(上等だ……っ、テメェの狙撃と俺の回避、どっちが上か勝負だ!)
転がった動作を利用して、クモの様に長い四肢をバネ代わりに使っての跳躍。ノータイムでの回避行動で、耐性を立て直す隙を狙った狙撃のラインを躱す。目まぐるしく動く視界の中に、再び見えたそのラインの視点をヘルメットの奥から睨みつけ、俺はまた砂漠を吹く風となって駆け抜けた。
◆
戦いは、いつ果てるともなく続いた。
いつしか俺は叫ぶことを止め、ただただその感覚だけに集中し続けた。
周囲に響くのは、俺の砂漠を駆ける音と、奴の消音器付きの狙撃銃の僅かな音のみ。恐らく今この砂漠にいるのは、洞窟に隠れているのだろうキリト達を除けば二人だけなのだろう、音の無い戦い。その無音の死闘の中、ひたすらに俺は死銃の姿を見続けた。
もういくつの弾丸をかわしたか。
どれだけの時間が経ったか。
その中で、俺は作戦の一つの失敗を悟り、同時に奴の成長を思い知らされてた。
(……あと、何発残してやがる……っ)
かつての夏の日の死闘。
武器破壊を操る俺の《カタストロフ》を相手に、奴は武器を使い捨ての消耗品とみなして自分のストレージの中にある刺突剣を次々と取り出して戦うという戦法で渡り合ってみせた。しかしその最後は、ストレージ内の剣が無くなった瞬間の焦りを俺に見抜かれ、その際に隙を晒してしまってその戦闘を終えたのだった。
今回もそれを応用し、俺は「奴の弾切れを待つ」という戦法を取った。こちらはただただ銃撃を避け続け、死銃の狙撃銃の弾が無くなったところを撃つ、というある意味セオリー通りの戦闘法。しかし今回の奴はまるで残弾が無くなったかの様なブラフを絶妙に張り、俺が突っ込んでくるのを巧妙に誘ってくる。そんな罠に誘い込まれては、いつまでもかわせるとは思えない。
さらにこちらがわざと見せた隙に対しては、大口径の弾丸ではなく「予測線それ自体を向ける」という攻撃で対応してくる。確かに高威力の銃は万一を考えて予測線でも必死に回避せざるを得ない。俺もかつて高威力な光線銃の《カノープス》でよく使った手だが、「自分の攻撃手段は相手からもされる可能性がある」ということをすっかり見落としてしまっていた。逆の立場、というのは案外人の意識に上らないものだ。
(……どうする……っ)
危険を覚悟で突っ込むか。
それとも、自分の回避能力を信じて避けに徹
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