GGO編
episode2 赤い目と、空色の夢2
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っ。……だから、さっ」
後ろ姿が、一瞬だけ、俯く。声が、微かに震えていく。
そうだ。俺は……いや、俺のほうこそ、仲間と『彼女』といるときに強がっていたのだ。
(……ははっ……)
本当はそんなに強くも、カッコよくも無いくせに、それを知られまいと必死に振舞っていた。いや、自然にそう振舞えた。『彼女』には、自然に回りをそうさせる様な、そんな力があったのかもしれない、と思う。或いはそれは、俺だけに働く力だったのかもしれない、とも。
「私が見てるときにカッコ良いならっ、私がっ、ずーっと一緒にいて見てたらさっ。……シドはずーっとっ、カッコ良かったんじゃないかなーっ、てね……。私が、死ななかったらさっ……。私の後悔はっ、私が死んじゃったことかなっ」
「っ……」
いつも明るい、澄んだ空のようなあの声が、苦しそうな、申し訳なさそうな色を帯びる。
その言葉に、俺の喉が詰まり、知らずに唇をかみしめる。
何をやってるんだ、俺は。
いなくなった奴にまで、責任感じさせて。
「だから私はっ、その後悔をっ、今消したいのですっ!」
そんな俺の様子が、まるで見えているかのように、『彼女』は振り返って明るく言う。
顔には、見慣れた笑顔。雨の後の虹のような、涙のあとの笑顔。
「シドっ。私は、みてるから。ずーっとずーっと、みてるからっ」
晴れ渡るような、澄んだ笑顔で。
「たとえ姿が見えなくても、声が聞こえなくても、ずーっと一緒にいるからっ! だからさっ。いつだって私といた時のっ、カッコ良いシドでいてよっ。シドはさっ、私にとってはっ、誰より一番『勇者』だからさっ!」
力強く、そう口にする。
懐かしい、弾むようなその声で、告げてくれたる。
その言葉が、強く、俺の背中を押す。
激しく、俺の心を奮い立たせる。
その感情のまま、俺も彼女の様に笑いかえす。
それは、『彼女』の笑顔を見れた喜びからだったのか。
それとも、こんなことも分からない、自分自身の愚かさへの苦笑だったのか。
「……分かったよ。ここで、約束する。俺は、もう二度とソラに、みっともない姿はみせない。どんなときだって、な」
俺は、『勇者』じゃない。
そんな大仰な器ではないし、……お姫様を守ることもできなかった。
けれども。
『彼女』が俺を『勇者』と呼ぶなら。
『彼女』にとっての、『勇者』が俺なら。
『彼女』の前で、もう無様な姿は、絶対に見せない。
負けるときだって、死ぬときだって、それは絶対、前のめりだ。
輝く向日葵の様な笑顔を見つめて、俺の意識は再びブラックアウトした。
◆
瞬間、一気に俺は跳ね起きた。
随分長い
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