GGO編
episode2 死の銃と布良星3
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
(ちっ……思ったより深刻だねこりゃ…)
手元に表示された衛星スキャンを見ながら、俺は心の中で舌打ちした。お目当ての「あの名前」は、光点の中にはない。あの男の名前は当然あの頃と同様ではないだろうし、もしかしたら『光歪曲迷彩』でスキャンそのものを逃れているかもしれない。どちらにせよ今わかるのは、このスキャンで奴の場所を判断することはできないということだった。
そしてもう一つ、光点から分かることは。
(なんてザマだよこりゃ……)
今居るこの砂漠地帯が、明らかに異常な状況を呈しているということだった。
(……キリトの馬鹿野郎が……)
原因は、キリトだ。光点全てをクリックして表示した中に、あの男の名前が無い。あいつが奴如きに殺される訳は無いから、恐らく……いや間違いなく、この砂漠地帯の洞窟に隠れているのだろう。それを見た連中が、仕留める為にグレネード片手に集まってきた、と。
そして。
(片端から、撃ち殺されたってわけだ……)
かなりの数の光点が(それも殆ど全てがグレー)が、砂漠地帯全域に転々と転がっているのだ。あの男の持っていた武器はハンドガンともう一つ、大型のスナイパーライフル。銃器にそこまで詳しくない俺はその名称までは分からないが、狙撃銃の発射音のしないことから見るに俺の《カノープス》と同じ消音機能があるのだろう。
(消音付き狙撃銃に、透明化マント。成程こりゃ最悪だ)
本来なら、狙撃手として戦う場合、遮蔽物の無いこの砂漠地形は不利だ。しかし透明化マントを持っている以上、銃ごとすっぽりマントで包んでしまえばその姿は非常に探しにくい……というか、相手が何らかのアクションを起こさない限り探しようが無い。
だから。
(そのアクションを、見逃さない……!)
不規則な疾走を繰り返しながら、砂漠全域を見える倍率でスキャン画面を凝視し続ける。
(っ……!)
光点がまた一つ、グレーに変わった。近い。
靴底で砂地に急制動をかけて、方向転換、すぐさまそっちへと向かう。
グレーの光点は、まだ「生きている」のだ。HPは零でも、現実では生きている。本当に死んだ人間は、回線を切断されて消滅、表示から影すら消しているのだから。もう画面には表示されていない、『ギャレット』のように。
あの男は言った。「もう一人、殺す」と。
ならば奴は間違いなくそれを実行しようとするだろう。
そしてあの演技過剰の男なら、きっとカメラの前でその手の《デス・ガン》を使うはず。既に動けなくなった敵に対して、恐怖を刻みつけながら。HPが零であってもその銃の殺人効果が作用するなら、一度グレーになった点に近寄っていく。
(そこを、撃つ……!)
五感の精度
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ