GGO編
episode2 死の銃と布良星2
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「ウソ……なにアレ……?」
「しぃっ!」
思わず声を漏らしたツカサを、鋭く制した。
だが内心では、俺もかなり動揺していた。
鍛え上げた俺の聴覚が、その男の声を捕えていたから。
―――これが、俺の……死銃の、力だ……
男の立つ場所まではハンドガンでは到底狙えないほどの距離があるだろうが、それでもそこでの声が聞きとれるのは、その男が特徴的なぶつ切り声をかなり張り上げて喋っているからだ。男が片手に携えた漆黒のハンドガンを翳す先の光点は、中継カメラか。
―――俺は、この力で、もう一人、この大会中に、殺す……まだ、だ……
挑発するような、絞り出すような声。
もう一人、もう一人殺す、と。堂々と告げる、殺人予告。
そして、最後の一言。
――― ……まだ、終わらない。……イッツ、ショウ、タイム。
その一言を告げた男の体が、炎の揺らぎに溶ける様に消滅した。
◆
そのギリーマントの男が姿を消したのを見て口を開こうとしたツカサを、油断なく制する。相手が「姿を消した」ということは、その力を使ってこちらに接近している可能性がある。俺も細心の注意を払って警戒しているが、念には念を入れるべきだ。
一分、二分と無言、無音を過ごし、気配が無いことを確認して、やっと口を開く。
「大丈夫、そうだな……」
「うん、そうだね……」
が、開いたからといってその口調は重い。当然だ。
俺も、そしてツカサも、あの男の噂くらいは知っていたからだ。
このGGOの、時の噂を独占する一人のプレイヤー、『死銃』。自分には撃った者を殺す本当の力があると豪語している、訳のわからんプレイヤー。しかし現状、撃たれた二人である『ゼクシード』と『薄塩たらこ』がそれ以降ログインしてこないことは厳然とした事実だ。
当然ここはネットゲーム、殺された人間が本当に死ぬ、などというどこぞの狂人が創ったようなシステムがあるはずがないのだから、他のプレイヤー達も……そして俺自身も死銃など単なる噂の産物だと思っていた。
だが。
だが、あれは。
あの、声は。
あの、セリフは。
「……どう、思う?」
「……分からん。……分からん、が……」
「マジ、だろうね……」
本気だろう。少なくとも奴は、既にHPを失くして倒れていた……つまりはこちらからはもう干渉出来ないはずの『ギャレット』を相手に、その手の拳銃で回線切断させてみせた。あれだけ派手なパフォーマンスをして見せたのだ。あの力が何であれ、あれが全て偶然ということはあるまい。
「……どうする? 『死銃』の力が本物なら、少なくとも未知のものであるなら、関わるべきじゃない、と、オレは思う……」
ツ
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