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ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
GGO編
episode2 死の銃と布良星
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かせなかった。そしてここは重度倒壊地域、気付いても一瞬で効果範囲から逃げ出しはできない。

 「くっそおおお!!!」

 捨てゼリフが消えて、光の中から現れたNo−Noは既に燃えカスだった。

 あんまり有難くないことにこのBoB、普段のGGOと違って死体はポリゴン片となって爆散することなくその場に残り続ける。銃殺された場合は気持ちよく血を流して倒れるのだろうが、爆殺死体にその気持ちよさは一切ない。まあ、そんなやり方をする張本人である俺が言うのもおかしな話なのだろうが。

 「なーいす、ラッシー。流石に爆弾魔の名は伊達じゃないね?」
 「は。このくらいならミオンも出来るだろうよ。ってか、タイミングの見方はミオンの直伝だ」

 爆発音と同時に集まってくるだろう他のプレイヤーを避けるために一目散に倒壊した地域を駆け抜けながら、ツカサの声に返す。BoB舞台であるこの島で最も踏破の難しい重度倒壊地域だが、二人とも《軽業》スキルは十分だ。走り抜けるのに苦労は無い。

 今回のBoBが始まって数十分、二人の戦闘は正直かなり良く進んでいた。初期配置が近かったという幸運によって素早く合流できたのもあり、ここまでで既に爆殺人数は三人。腰の特別素材のポーチの中の爆弾も、十分な数を保っている。まだまだ『奥の手』は使わず、コンビプレイだけで押していけるだろう。

 ああ、もう一つ幸運なことに、あの『黒の剣士』とはまだ出逢っていない。出会ったら速攻で爆弾を置いて逃げるしかないだろう。相性的にも、……そして俺の心情的にも。

 「んー、次は誰を狙うかね?この辺なら、っ!!?」

 走りながらのツカサの声は、途中で遮られた。

 「っ、たあー、派手に暴れてる奴がいるね? 『爆弾魔』のお株を奪われるかな?」
 「んにゃ、あの爆音はグレネードじゃないな……多分、大型車だろ」

 巨大な炸裂音が周囲の空気を震わせたからだ。

 俺のヘルメットは爆弾使いとしての一定量以上の大音量を遮る防音効果を備えているが、ツカサは防音どころかヘルメット自体を被っていない。先ほどの俺のグレネードは中型だったから何とかなったものの、あのレベルの爆音を至近距離で受けてしまえば数秒の硬直は免れないだろう。今も結構な距離だったものの、顔を顰めている。

 (さて、と……)

 炸裂音は、敵を惹きつける。

 それは獲物を狙いやすいという利点でもあるが、勿論敵に狙われやすいと言う欠点でもある。向かうか、引くか。或いは周囲を覗って、衛星スキャンまで待つか。難しい決断を求められる瞬間だ……が、こういうときは人任せにするのが、俺のスタンスだ。

 「どうする? 向かうか?」
 「んー、さっきこの辺には数人いたからね? もう少し……五分くらいして行こうか。それ
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