第一幕その一
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
いた。切れ長で澄んでおりその黒は夜の黒だった。それが白い肌と見事な対比を見せていた。それと共に美貌もまた際立たせていたのだった。ルーシーのものではない、東の美貌であった。
「私の愛する方は来られるかしら」
彼女は娘達の言葉を聞きながら思うのだった。
「今ここに。来られるのかしら。いえ、若しかして」
ここでふと危惧を覚えた。
「私がここでお待ちしていることを知らないのかしら。伝え忘れて」
それを思うと胸が張り裂けそうになる。夜の闇の中でその顔を暗くさせた。
「それでも。私は」
だが希望を思い出し。呟くのだった。
「貴方を待つわ。もう夜だから」
そう、夜だった。娘達が楽しみにしている夜だった。
「御会いできる時間だから。だからここに」
「甘美な時が来るわ」
娘達も言う。
「私達の待っていた時間が」
「そう、それはもうすぐ」
黒い服の娘も言う。
「甘美な時がはじまるわ」
「コンチャコーヴァ様」
ここで娘達はその黒い服の娘の名を呼んだ。彼女はポーロヴェッツのハーンの娘、言うならば彼等の王女なのである。高貴な女なのだ。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ