GGO編
interlude 顔知らぬ人へ2
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いのに、それでも何か、ロクでもないことに巻き込まれつつあるのだけは、直感で理解できる。
「……『魂』……というものか……人の経験や強い思想……そして意志……記憶を繋ぎ……子孫へと……未来へと繋いでいき……その存在を大きく変質させる特殊な情報体……」
一瞬たりとも目線を逸らさず、こちらへと踏み出す、よれよれのスーツの男。
だがしかし、その迫力はかつて俺が味わった多くの強敵の威圧感に劣らない重圧。
「……君はその存在の生き証人だ……親父さんのことを一切知らないのに……その体に……いや『精神』に……彼が持っていた力を宿している……それは……その引き金は何だったのか……さあ……聞かせて貰おう……」
知らぬ間に伸びた両腕が、がっちりと俺の肩を抑え。
「あの世界で、何をしたのかを」
はっきりと、その魂を揺さぶった。
◆
結局そのあと、迫力に屈した俺は小一時間延々と喋らされた。そして親父のことはおろか、その『魂』だのフラクトなんとかだのについても一切理解することは無く(っていうか詳しくは教えて貰えなかった)、単純にモルモット扱いで執拗な聞きとりを受けただけだった。
もし、得たモノがあるとすれば。
―――人の経験や強い思想……そして意志……記憶を繋ぎ……子孫へと……未来へと繋いでいき……そしてその存在を大きく変質させる……
漠然とした、良く分からない、しかし何か記憶に残る、この言葉だけだった。
ぼんやりと思う。俺が今、GGOの世界で振るっている、あの銃器。親父は、あんなものを振るう力を俺に引き継いで、一体何をさせたいのか。そもそもそんな力を持ってるなんて、親父はどこの何者なのか。考えても答えは出ない。
まあ、それでも。
俺はこれからもこうして、顔を知らない人のことを思う日を過ごすのだろう。
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