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ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
GGO編
interlude 顔知らぬ人へ2
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いのに、それでも何か、ロクでもないことに巻き込まれつつあるのだけは、直感で理解できる。

 「……『魂』……というものか……人の経験や強い思想……そして意志……記憶を繋ぎ……子孫へと……未来へと繋いでいき……その存在を大きく変質させる特殊な情報体……」

 一瞬たりとも目線を逸らさず、こちらへと踏み出す、よれよれのスーツの男。
 だがしかし、その迫力はかつて俺が味わった多くの強敵の威圧感(プレッシャー)に劣らない重圧。
 「……君はその存在の生き証人だ……親父さんのことを一切知らないのに……その体に……いや『精神』に……彼が持っていた力を宿している……それは……その引き金は何だったのか……さあ……聞かせて貰おう……」

 知らぬ間に伸びた両腕が、がっちりと俺の肩を抑え。

 「()()()()で、何をしたのかを」

 はっきりと、その魂を揺さぶった。





 結局そのあと、迫力に屈した俺は小一時間延々と喋らされた。そして親父のことはおろか、その『魂』だのフラクトなんとかだのについても一切理解することは無く(っていうか詳しくは教えて貰えなかった)、単純にモルモット扱いで執拗な聞きとりを受けただけだった。

 もし、得たモノがあるとすれば。

 ―――人の経験や強い思想……そして意志……記憶を繋ぎ……子孫へと……未来へと繋いでいき……そしてその存在を大きく変質させる……

 漠然とした、良く分からない、しかし何か記憶に残る、この言葉だけだった。

 ぼんやりと思う。俺が今、GGOの世界で振るっている、あの銃器。親父は、あんなものを振るう力を俺に引き継いで、一体何をさせたいのか。そもそもそんな力を持ってるなんて、親父はどこの何者なのか。考えても答えは出ない。

 まあ、それでも。

 俺はこれからもこうして、顔を知らない人のことを思う日を過ごすのだろう。


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