GGO編
episode1 風を受けて3
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ルの距離では外す気などないし、事実ラッシーもこの距離まで接近してそのHPが急速に削られている。なんの策も無く突っ込んでくるなら、あと半秒もあればその軽装な体のHPを潰すくらい訳は無い。
だが。
(相手は、あの『ダイナマイト・ラッシー』。何の策も無いとは思えない、が……)
しかし、考えても思いつけない。
そして何より、その「迷いを生ませる」ということ自体が作戦の可能性もある。
だから、リッチーは慌てない。
自分に可能な最善を尽くすのみだ。このあたりは、BoB経験の歴戦プレイヤーの実力。
「おおおっ!!!」
叫んだのは、ラッシー。
あらん限りの力と速度での跳躍は、リッチーも初めてみるレベルの大ジャンプ。
しかし。
(それでも、ここまでは届きはしないし、射角は十分だ)
あくまで冷静に、その愛銃、《ビッカース》を向ける。ゆっくりと追うその姿が最高点に達した時が、掃射のチャンス。相手のトリッキーな動きはこのGGOでも最高峰と謳われる熟練度だが、移動方法の無い空中ではどうにもならない。血迷ったか。
銃の先端で、追って、追って。
一瞬の、停止。
「くらえっ!!!」
一気に放つ、重機関銃の掃射。
反動を支えながら、しっかりとその銃弾を目で追って。
その、射線の先で。
「なっ!?」
その体が、再び跳びあがった。
いや、飛んだ。
轟音と、共に。
ラッシー。彼はその『ダイナマイト・ラッシー』の名に恥じない、多くの榴弾系武器を持っている。プレイヤーの好んで用いるプラズマグレネードは勿論、閃光弾、音響弾、発煙弾、そして……一般的な、ナパームグレネードも。
プラズマグレネードよりも威力的に劣るナパームなら、至近距離で爆発しても一撃死はしない。そして音と光が強く生じるプラズマグレネードと違って、激しい爆風が吹き荒れる。
(爆風を、利用して……っ!?)
慌てて射角をとるが、既にラッシーはもう頭上。そして。
「ゲーム・オーバーだぜ」
放られる、大型のプラズマグレネード。
「くっ……なっ!?」
慌てて隠れようとした瞬間。
飛来したシノンの放ったアサルトライフルの弾丸が、そのグレネードを貫いた。
◆
グロッケンの酒場にて。
「ふざけんなよ、あそこ撃たなくてもよかっただろ!?」
「いえ、リッチーは仕留められたでしょうが、もう一人の支援役が素早く身を隠そうとしていました。あそこでシノンさんが撃たなければ、多分仕留め損ねていたでしょう」
「ったく……。無駄死にさせたんじゃねーだろうな……」
「ははは。まあ、すごかったよ?」
「拙僧よりも派手に散
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