暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
GGO編
episode1 風を受けて3
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必死に走るものの、グリドースの体の各所に光るダメージエフェクトは決して少なくない量のHPを削っていく。

 「ほらほらハゲ! そんなんじゃこっちまでこれねぇぜ!」

 それもそのはず、グリドースのビルド構成はわけあって完全なバランスタイプ、AGI極の回避型やSTR−AGIの《軽業》型に比べればその回避性能は遥かに劣る。アサルトライフルの乱射に突っ込んでいっては、死は免れない。

 だが。

 「構うものか、参る!」

 それでも、グリドースは止まらない。ショットガンを放って相手を怯ませつつ、突進を繰り返す。アサルトライフルは仰け反り(ノックバック)こそ小さいがその装甲貫通性能は非常に優秀で、必死に進む彼のアーマーをあっさりと貫いてHPを減らす。

 もう残りは、僅か一割。

 (これが、最後の一弾!)

 諦めずショットガンに次弾を……いや、最後の一発を装填。その動作は恐らくアサルトライフルを撃つ魔鎖夜達三人には無駄な悪あがきに見えたのだろう、三人の顔に笑みが浮かぶ。

 魔鎖夜のレア防具、《耐光学兵器反射フィールド展開アーマー》。光学防護フィールドとしては異常な重量を持つが、プラズマグレネードを始め殆どの光学系兵器を完全に防護、さらに光線銃系の射撃を屈曲、反射すると言うとんでもない防具。実弾系の銃をグリドースしか持たない「雑技団」では、ここで奴を絶対に倒す必要がある。

 そのためには。

 (……この一発は、絶対に外せぬ!)

 弾幕の嵐の中、グリドースはしっかりと狙いを絞る。

 表示される着弾予測円の拍動に、全力で集中。がりがりと削られていくHPを、耳障りな射撃音を、意識から無理矢理に締め出し、ただただその予測円のリズムに、前へと進む足に集中する。限界まで接近、命中精度を稼ぐための突進に、視界の端のHPゲージが一割を切り、更に減り、減って、

 「おおおっ!!!」

 最後の一ドットの消える直前。
 限界まで収縮した予測円を目にショットガンの引き金を引き絞った。





 (勝った!)

 最後の一弾をグリドースが込めたのを見て、魔鎖夜は確信した。

 彼のトレードマークとも言える装備は対光学兵器用防具だが、実弾アーマーもそれなりのものを付けている。貫通能力に乏しいショットガンでは、零距離ならともかくこの二十メートルの距離では致命的なダメージを与えることはできないだろう。

 「そらそらっ!」「惜しかったな!」

 横の二人と共に、一気にアサルトライフルを撃ち続ける。
 同時に、グリドースの体のあちこちに赤い着弾エフェクトが光っていく。

 そして。

 (……っ、これは!)

 表示される、弾道予測線。
 胸を真っ直ぐに貫く、()
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