GGO編
episode1 その手に持つ兵器は2
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かし、ブレイクポイントで増えた大グモを処理する間だけでも、抑えて欲しいのです。相当無理を言っているとは思いますが……
同時に、鋭さの中に、幽かに焦りの混じった瞳が浮かぶ。
(……なめんなよ、ミオン)
表示される、弾道予測線。
さっきまでは感じられなかったその十数本のバレット・ラインの順番が、辛うじて見える。
加速する体。銃からの、鼓動を感じる様な錯覚。
その感覚に後押しされて、一気に減速する体感時間。そのまま体を躍らせて、血色のラインを体を捩じらせて回避する。針金の様な細い体を生かした、まともな人間には不可能な避け方で一気に距離を詰めての、再びの銃撃。
「ガギギ!」
「うおっ、と!?」
血の色の閃光は過たず敵を貫くが、ノックバックには至らない。
ダメージは負わせたと思うが、しかし敵の銃は再びこちらへと照準を合わせていく。
「くそっ、撃ってくるのかよ!」
今回はあちらさん、撃たれた瞬間姿を消しはしないで、撃たれながらこちらに応戦してきやがった。あっちが上を撃っていてこちらに注意が向いていないさっきまでならともかく、相手もこちらに狙いを定めた状態では流石にハンドガンとアサルトライフル、圧倒的に分が悪いし、単発拳銃では仰け反らせるまでには到底至らない。
しかし、それでもこれは、見方を変えれば、チャンス。
「うおおおっ!!!」
「ガガギギギ!!!」
走り込んでの滑り込みから、右手を伸ばしたまま鋭く振り切る。当然、右手に銃を持ったまま、だ。その下に付いたオレンジに輝く刀身が閃き、道化師の体を斬りつける。赤く光るダメージエフェクトは、決して少なくないダメージ量だろう。今度こそ怯んだ道化師が、奇声を上げながら仰け反って透明化していく。右手の輝きが、満足そうに煌く。
(……こっちも、馴染む、ね……)
その振うナイフも、手に馴染む。
この感覚がまた……なんとも気色悪い。
かつて二年の長きに渡って俺の魂を鍛えたあの世界で、俺は殆ど武器を手にしなかった。敏捷一極だったために筋力値が足りなかったというのは勿論あるものの、どれもこれも、どうにも俺の手にはしっくり来なかったのだ。勿論、短剣タイプの武器も。
だが、この武器は。
銃の形に握った、銃剣。素晴らしく…それこそ怖くなるくらいに体にマッチした。この武器こそが俺の求めた武器だったのだと、否応なく理解させられた。そう決まっていたから、だから、あの世界では、武器は使えなかったのだ。
決まっていた。何故?
決められていた。誰に?
(考えられるのは、一人、か……)
俺は既に、一つの心当たりに、気付きつつあった。
◆
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