GGO編
episode1 銃声と硝煙の宴3
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だと言わざるを得ない。
この小グモのAIは単純で、敵が自分の周囲十メートル以内を射撃してくれば細い一本の糸を吐いて応戦、それ以外は一番近いプレイヤーを追いかけて跳びかかる。俺のような「射撃を行わずに避け続ける囮」がいれば、小グモを惹きつけつつ厄介な糸吐き攻撃を封じられるだろう。
(ま、やれと言われれば、やるさ、っと!)
突進してくる小グモを大きく飛び越え、頭の中でのカウント、十五秒。
小グモ達はみっちりと俺の周囲に密集している。惹きつけは、十分だ。
『では、仕上げです。カメさん、発射。『D』、ダッシュ。『G』、どうぞ』
『了解、っと!』
『了解、参る!』
丁度良く跳びかかって来た小グモ。
の、更に上。
「よっ、と!!!」
目を見開いて、鋭く地面を蹴ってそこを目掛けて俺は跳んだ。
グロテスクな小グモの顔面を全力を踏みつけて跳躍、そのまま出口へ向けて駆け出す。跳躍の際に下を見れば、一瞬だけ視界に入る数十の赤いライン……弾道予測線だ。直後、後ろから響く射撃音。五十メートルほどの距離で機械兵と激戦を繰り広げていたグリドースが、ショットガンを小グモの群れの中央に向けて放ったのだ。
駆け出していたもののその広い散弾の範囲から完全に逃れはきれず二、三発が足に掠るが、そのダメージは微々たるもの。普通のショットガンを喰らえば紙装甲の俺ならそれなりのダメージを喰うのだが、今がわずかな傷で済んでいるのは。
(《バードショット》。惹き付け用、か)
放たれた弾丸が、通常の一発あたり十弾程の散弾ではない、三十以上の小さな弾をばらまく散弾だった為だ。向こうの世界ではその散弾は、その名の通り小柄な鳥を打つ為の狩人用の弾として用いられる。が、根っから射殺を前提としたゲームの中、このクリーチャーの跋扈する世界ではそういった用途に用いることもできず、せいぜいダメージを度外視した惹き付け用の安物という位置づけだ。しかしそれは逆に言えば、その広い散弾範囲は惹き付けとしては非常に優秀だということ。
(おーおー。壮観だな、こりゃ)
一番近い俺を執拗に追っていた小グモ達が一斉にグリドースの方を見て、糸を吐きだす。完全な精度をもった糸吐きであれば横に跳べば全弾回避が可能だろうが、残念ながらこんな量産Mobにそこまでの高い能力は無い。やはり数発の糸がグリドースの体を捕え、そのHPが二割ほど減少。
だが、ゴーグルの下のグリドース目が笑っているのが、俺には分かった。
見えていたからだ。
(さすが、ドンピシャだな)
小グモの群れの中央へと向かう極太の放物線、カメじいさんのプラランの軌道。
それを見届けて、俺も走る。一直線に向かうは、出口……奴らの親玉の大グモの向
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