GGO編
episode1 銃声と硝煙の宴2
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
(……これが、トップスコードロン、『血塗れ雑技団』)
凄まじい。シノンの感想は、その一言に尽きた。
ひとたび戦闘を開始すれば、凄まじいのはラッシーだけでないことを思い知らされた。
舞うように数十メートル距離の重機関銃を回避し続ける、ツカサ。いくら動きが緩慢な巨大兵とはいえ、あの距離では弾道予測線はかなり短時間しか表示されないはず。それを避け続けるとは、流石GGOでの「ガン・カタ」の第一人者と言われるだけある。二体の機兵を交互にメッタ撃ちにして体力を削り、憎悪値を無理矢理に惹き付けていく。
そのツカサを正確無比な射撃で援護するのは、グリドース。ツカサに殺到しようとする二体を絶妙に邪魔し、機械兵右腕に装着された強力なレーザー砲は全て弾いて狙いを逸らしている。そしてその合い間に遺跡奥、榴弾で砕けた壁の向こうからやってくる、群れから逸れた数匹のクリーチャー……小グモを撃ち抜いていく。
「ガハハ! 充填完了、次弾、いつでも行けるぞ!」
「では、十秒後にいきます、三人とも離れてください。五、四、三、二、一」
再びの、カメの持つプラズマランチャーの轟音。
プラズマランチャーはその特性として、ダメージの大部分をプレイヤー装備の対光線銃防護フィールドで減衰される。それは味方への誤射ダメージが少ない利点ともなるが、それでも直撃すれば少々のスタンが生じるだろう。しかしミオンは、その僅かなスタンも許す気は無いらしい。或いは、彼らならこの五秒で効果範囲からの撤退が可能だからか。
飛ぶように離れる前衛と、曲線軌道を飛ぶ極太のレーザー。
直後、光の爆発の直撃に電撃状のダメージエフェクトを光らせる巨人。
それを確認すらせずに、
「さあ、シノンさん、お待たせしました、貴方の出番です。あの出口の、更に奥。ラッシーさんが邪魔な遮蔽物を爆破してくれたので、湧き出つつある小グモ達の親玉が見えるずです。アイツの弱点は、胴体に四対八個並んだ目。それを可能な限り撃ち続けてください」
ミオンの指示。
するりと構えたスナイパーライフルのスコープを覗くと、まるでその言葉が聞こえたかの様にドームの対角線、出口の奥から突進してくる巨大なクモがその姿を現した。ここからの距離は恐らく……七百メートルといったところか。
(七百、か……)
クモ型のMobはGGOではメジャーなタイプのクリーチャーで、シノンも何度か遭遇したことがある。確か主たる攻撃手段は二百メートル強の射程を持つ散弾軌道の糸吐きと、至近距離からの噛みつき、踏みつけだったはず。糸は吐き出された後も数分間残るためにプレイヤーの移動を著しく制限するので、機動力が命の前衛を守るにはドーム内にあの蜘蛛が入る前に
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ