暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
GGO編
episode1 銃声と硝煙の宴
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 土曜、夜。およそ一時間の時間をかけて訪れたのは、渓谷地帯の奥深くにある古代遺跡、『人の消える巨大地下遺跡』だった。シノンにも殆ど経験の無い、かなりグロッケンから離れた地までの、いわば「遠征」と言える探索だ。

 それを可能にしたのは、

 「オッケー。んじゃ、この馬はここに繋いどくぜ」
 「ありがとうございます、ラッシーさん。相変わらず騎乗が上手くて助かりました」

 ラッシーの乗りこなす、ロボットホースだ。「乗馬経験者じゃねえよ? VRワールドの馬は現実で乗れても簡単には乗れねえし。ちょっと別ゲームで練習したんだ」と語っていたその騎乗動物は凄まじい機動力を誇り、彼の軽く一キロ先まで見通す《索敵》のスキルと相まって凄まじい先行偵察能力を発揮していた。なにしろ本隊五人はここに到着するまでに、プレイヤーはおろかフィールドMobにすら遭遇していないのだ。

 「使用した弾薬はいくつでしたか? 巨大な爆音が一回響いたように感じましたが」
 「ああ、アレなら二発だ。小型Mobの群れが居たんで、時限式の使って同時爆破しといた。群れだったら粗方潰したら去っていくだろ? こっち来る前に撤退させといた」
 「ありがとうございます。でもこれからは、そういうことは前もって報告してくださいね。なんの為の斥候兵ですか」

 さりげなくやりとりを交わすラッシーとミオンだが、結構とんでもないことをしている。フィールドMobは確かに単純なAIだが、それでも時限爆弾で殺すとなると難易度は格段に上がる。それを独断でこなしたということは、成功させる自信があったということか。

 (これが、トッププレイヤー……)

 遺跡へと侵入していく彼らを見ながら、シノンが内心で息をのむ。
 しかしこの段階では、シノンはこの部隊の凄さをまだまだ理解してはいなかった。





 「では皆さん。ここからは小声で、口元の小型通信機を用いてください」

 地下へと潜って遺跡を探索し始めて、五分。
 早々と最初に接敵した時、シノンはこの部隊のとんでもない練度を目の当たりにした。

 『こちら『G』。中型二足機甲兵二体、視認致しておる』
 『こちら『T』。同じく二体おっけー。いつでも行けるよ』

 既に散開した前衛を担当するグリドースとツカサは、広い空洞をうろつく敵のすぐそば、空洞の入り口五十メートルほどの距離まで迫っている。空洞はその半径は百メートルを超え、天井も五十メートルはあろうかというドーム状の空間。そこを護衛……しているのかは不明だが……としてうろつくのは、高さ十メートルはあろうかという鋼鉄の機械兵だ。弱点らしい弱点の見当たらないあの鋼の体では、たとえヘカートでも十発単位で当てないと破壊できないだろう。

 しかしそれよりも。


[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ