GGO編
episode1 銃の世界の戦友達
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「また、来ちまったな……」
黒く淀んだ空を見上げて、俺は深く溜め息をついた。このGGO世界、コンバートのたびに出来ればもう二度と来ないようにしようと思って去るのに、玄路伯父さんから進められて以来殆ど毎月のように訪れてしまっている。
(やっぱ、いきなり雑誌記者で食っていく、ってのはちっと無理があったかね……)
心の中で、二度目の溜め息をつきながら、苦笑する。
全く、上手くは行かない世の中だ。
さて、稼ぎに来たのはいいものの、コンバートしたてのこの身では、アイテム類は一切ないし、初コンバートでは無い為に初期金額すらない。まずしなければいけないことは、俺の所属している……わけではないが、まあ馴染みになっているギルド……おっと、こっちではスコードロン、だったか……へと向かって、預ってもらっている俺の装備を返してもらうことか。
とりあえず歩き始める俺に、
「……おお、久しぶりだな、『D』の兄ちゃん」
話しかけてきたのは、一人の男…アバターのバイヤーだ。
久しぶりだが、俺も良く覚えている。
なぜなら、
「……にしても、何度見ても凄いアバターだなぁ、それ。やっぱり売れないかい?」
「……ああ、すまんな」
初めてコンバートで訪れた際、執拗に話しかけられたからだ。その理由は簡単、俺のアバターが極めて特異な、激レアの外見をしていたからだ。最初の時はかなり心惹かれる程の金額を提示されて、これが「SAOからのキャラデータ引き継ぎ」で作られたスプリガンアバターでなければ転んでいたかもしれないほどだった。
「激レアアバター、M8800番系……。いいよなあ、それ。使いやすいだろう?」
「……まあ、な。やらねえぞ?」
売られないと分かってもそう嘆息する男の気持ちも、分からなくはない。
―――蜘蛛男。
俺のアバターを一言で表すなら、それが最も適切だろう。現実世界の俺も相当に手足が長いと言われているが、このアバターはその俺の感覚からしても軽く拳一つ分は腕が長い。それに加えて胴体は骨と皮だけ……もっといえば小学生の作った歪な針金細工かと思う様な細さだ。身長こそ向こうと然程変わらないが、その体重は明らかに十キロは軽かろう。
それが意味するのは。
(明らかにチートだもんなぁ、このアバター)
この手のゲーム、基本的にアバターの姿は然程能力値に影響を及ぼさない、つまりは外見のランダムデータによってユーザー間の不平等は生じないようになっている。だがそんな中、この激レアアバターは明らかに有利な点がある。被弾面積の少なさだ。正面戦闘で射撃された場合、恐らくこのアバターは同身長の筋肉質な他アバターに比べて半分ほどの辺り判定部位しかあるまい。
この利点、
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