GGO編
prologue 賑やかなる安らぎの日々
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ます勢いづいて「ほらほらっ!」と俺の耳を引っ張りだす。
この時点で既にかなり諦めつつあった俺の目の前に、
『諦めてさっさと準備しやがってください。どう考えても多勢に無勢でしょう』
表示されたブロッサムのメッセージが、トドメを刺した。
「……なるほど、これが四面楚歌と言う奴か……」
『ぶつぶつ言ってないでサクサク準備を。まあ、あなたには特に準備もないですかね』
「あーあー、分かったよ! 行きゃあいいんだろ行けば!」
「やったーっ!!!」
向こうの世界の季節は、夏。このアルヴヘイムにアインクラッドが実装されて既に四か月が過ぎたことになるが、俺の生活は概ねこんなすったもんだの繰り返し、良く言えば賑やかで騒がしい、悪く……は、言う必要はないか……な、ものだった。
(そう、悪くは、無いしな……)
一言だけ心中で笑い、外面では大きくため息をついた。
顔のすぐ横を漂うチビソラが浮かべた満面の笑みは、悔しいことにえらく可愛かった。
◆
そして、二時間。
俺にファー、レミ、モモカ、ブロッサム、そしてチビソラを加えた五人と一匹(と、本人に言うと怒られるのだが……)でのアインクラッドダンジョン探検はやはり楽しかった。特に、多くの高級素材アイテムを手に入れたレミとブロッサムは(どっちも無表情のくせに)上機嫌だった。
ホームに帰ってきた(他の面々はそれぞれすることがるらしくアインクラッドで解散、ついでにチビソラもあっちに押しつけてきた)俺はすっきりした頭でホロキーボードを叩き、上がった原稿は自分でいうのもなんだがなかなかのものだった。
なかなかのものだった、のだが。
「……〆切……過ぎてんじゃねえかあぁーーっ!!!」
書きあがったのは、……実に無念ながら……〆切の、十分後だった。異常に〆切に厳しいうちの編集者は当然許してくれるはずもなく、俺は今週分の原稿を落とし来月分の生活費の四分の一を失い……結果、ちょっとした小遣い稼ぎに奔走することになるのだった。
この国で唯一の『ゲームコイン還元システム』を用いた、小遣い稼ぎへと。
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