GGO編
prologue 賑やかなる安らぎの日々
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は、意地を張りたがる男という生き物の悲しい性か。
「はぁ……どうしたもんかね……」
正直、俺もその案には割と賛成だった。
もう既に作業にかかって一時間だが、まるで筆が進んでいないのだ。こういう時に気分転換するのは実に効果的だと自分でも理解している。というかそういうことわかってから言ってんのか? もしかしたらそれもまた、茅場が言っていたこのチビソラのメンタルメルス機能云々の力なのかもしれない。
「諦めた方がいいんじゃないッスか? チビソラさんも言ってることことだし」
「んあぁー……」
「……かんねんしろー。おまえはかんぜんにほういされているー」
「……てめーら……」
そして放たれる、援護射撃。
この家の住人でもあり、俺の旧友でもある二人だ。
一人、大きくてがっちりした体を頑丈そうな鎧に包み、ストレージを確認している短い金髪の男は、ファー。SAOデータ引き継ぎ機能で作ったキャラであるそのアバターは、プーカでは珍しいほどの大柄な体を為している。SAO世界では然程気にならなかったものの、こうして俺の身長が極端に縮んでしまったこの世界では実にうらやま……いや、その大きさが分かる。部屋の中だというのに常に着ているトレードマークらしい青い鎧姿はまるで中世騎士の様で、大きさと相まってなかなかの迫力を醸し出している。
もう一人、紫のナイトキャップを被って、眠たげなジト眼でこちらを睨んでいる(ように見える)のは、レミだ。腰には大小も形状も選り取り見取りな無数のブーメランが数珠つなぎにぶら下げられており、その上には高い魔法効果のローブを纏った姿。こちらもいつでも準備万端の格好と言える。SAO時代からのブーメランのスキルに加えて、結構なレベルの火力メイジでもある彼女の目を見るに、「かんねんしろ」は実はマジかもしれない。
二人の支持を受けて、ソラの顔がぱっと輝く。
太陽のようなその笑みは、まさに「我が意を得たり!」だ。
妖精らしく白い肌を興奮したように仄かに赤く染めて、
「そーだよねっ! ファーちゃん、レミたんっ! ほらほらっ、シドくんも行こうよっ!」
「……だーかーらー、俺は飛ぶの苦手だからあんまり上までは行きたく、」
「おはようございます、シドさんっ! あ、あの、遊びに行かないですか! 今ちょうど、」
「……モモカあっ! タイミングが悪いっ!!!」
「え、ええーーっ!?」
捲し立てるソラに、更に支援魔法が入った。
ホームのドアを勢いよく開けて突入してきた桃色の髪の眼鏡娘……モモカだ。突然の俺のお叱りに瓶底メガネの奥の目を丸くして、ついでにショッキングピンクのド派手な髪の頭の上に「!」と「?」をそれぞれ三つくらい浮かべて絶句するが、肝心のチビソラはます
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