暁 〜小説投稿サイト〜
蒼天に掲げて
八話
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


(まあ運がよかったんじゃねえか? それに強くなった方がいいんだろ?)

『まあね、でも多分だけれどもっともっと強くならないと、アイツには勝てないと思うわ』

(そこまでか、まあ幸いまだ黄巾の乱が起こってないんだろ?)

『ええ、大体あと五年後ってとこかしら』

(あと五年もあるのか、それは長いな……)

『なんか今の貴方の言葉、残り五年が長いには聞こえなかったんだけど?』

(気のせいだ、きっと十話には五年後になってるよ)

『あ、やっぱりそっちの意味だったのね!? ダメでしょそういうメタな話をす――』

「戻ったぞ柏也」

 ナイスタイミングでジジイが来たので、照姫との念話を切りジジイの方を向く。

「おー、ジジイか。それで、どうだったんだ?」

「どうやら飢餓がひどいらしくての、村長は死んでおった」

「じゃあどうするんだよ? 村に制限がなかったら賊の連中が来た時、やりたい放題になるぞ?」 

「それは分かっておる、じゃから儂が村長をやろうと思っての」

「ああ、それならこの村も絶対安泰だ――ってジジイが村長やるだと!?」

「そうじゃ、村の者は皆弱っておるし、他に方法もなかろう」

「そうだとしても外から来たような奴を村長になんてするか普通?」

「そこは信用問題じゃよ」

 俺が必死に反対してもジジイは折れず、またジジイの頑固さもこの五年で把握していたので、俺が渋々折れることになった。

「ほれ、今から村の食料を調達しにいくぞ」

 大鎚を担ぎ森へ歩いていくジジイにため息を吐き、俺もゆっくりと後を追っていった。





「なるほど、道理で村人がこの森に手が出せんわけじゃ」

 森に入って少し奥に来た時、ジジイが呟くようにそういった。

「なにか他の森と違うことでもあるのか? 俺には普通の森にしか見えないが」

「お主の森の基準が間違っておるのじゃよ、お主が住んでおった森基準じゃろ?」

 そりゃそうだ、俺は五年もそこに住んでいたんだからな。

 それがどうかしたかと問うと、ジジイはやれやれとでもいいたげに首を振った。

「あの森は動物達の殺気が強く、どいつも他の森より強いといったことがあるじゃろう」

「確かにそれは聞いたが、もしかしてここにいる奴等も強いのか?」

「そういうことじゃ、まああの森よりはマシじゃがのう」

 へー、と相槌をうち、なにか食えるものがないかと森を探索していく。

「お、あの草いけるんじゃね?」

 木の下に生えていた草を発見し、ジジイに渡す。

「ふむ……。これはダメじゃ、毒があるわい」

 しばし草を吟味していたジジイが草を捨て、また歩き出した。

 おかしいな、こ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ