八話
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「そりゃジジイ、今逃げたフリをした賊共を殺せってことかい?」
「そういうことじゃ、危険になれば儂もでるが、必要ないじゃろ?」
「もちろん、今さっきのが初めてだったんでトラウマでもできるかと思ったが、大丈夫そうだ」
「今夜はうなされるぞ?」
「そっちのほうが嬉しいね、そうじゃないと俺が人じゃなくなりそうだしな」
俺は二本の太刀を抜き、森の中に突っ込んでいく。
「やっぱり重いな」
「くそ、おめえら引き上げだ! バレてやがるぞ!!」
「待てよお前ら、逃げる前に今まで自分がしてきた罪をいってみろ」
「うああ!? こっちにくるな!!」
「まあ落ち着けよ、お前らが誰も殺したことない人畜無害なら手は出さねえよ」
「賊にそんな奴いるわけねえだろ!!」
「おっとそうなのか? だったら全員殺さないとな」
「うわあああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!!!」
その夜、森の中に絶叫が響き渡り、その声は段々小さくなっていき、しまいには聞こえなくなった。
◆
『あー、暇ね、暇だわ』
(そんなことばっかいってるとニートになるぞ?)
『だって仕方ないじゃない、神の仕事って基本管理だけなのよ? ずっとモニターで映像見てるだけじゃつまんないわよ』
(神の仕事ってそんなのだったんだな……)
ジジイと旅を始め、照姫がいうには大体五年。俺は村の前でジジイの帰りを待っていた。
『そういえば柏也、なんであのお爺さん村の中に入ったの? 村なら三日前も寄ったじゃない』
(ああ、なんかジジイがいうにはこの村が飢餓に陥っているらしい)
『で、また人助けってこと?』
(まあそうだな、俺的にも人助けしてるほうが嬉しいし、いいんじゃないか)
『相変わらず根っこの部分は変わってないわね、まあいいけれど。それで、お爺さんは今村長と話をしてるってこと?』
(そうだろうな、で、俺は賊がこないか見張り中だ)
『なるほどね、貴方大分強くなったし千人くらいなら一人で殺っちゃえるんじゃない?』
(さあな、確かに野太刀を一日中振り回していても疲れることはなくなったが)
『それはそれは、大分人間離れしたわね』
(そりゃジジイのせいだ、あんな修行させられるとは思ってなかったからな)
ちなみにあんな修行とは、滝の下で俺が野太刀の素振りを行い、ジジイが上から丸太を落としてきたものを叩き斬ることや、背中に直径二メートルの丸い岩を乗せ、一日中走り回ったりや、針葉樹の木の上で逆立ちになって腕立て伏せをしたり等々。
本当に死ぬかと思うようなことばかりをしてきたのだ。
『貴方もよく耐えられたわね、普通死ぬわよ?』
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