六話
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
(なんだよ? もしかして俺に爺と旅しろってか?)
『そういうことよ。別にいいでしょ?』
(精神的にいやだ)
『この程度なら大丈夫でしょ、それに私達もそろそろ新しい行動しないといけないんだし、ちょうどいいじゃない』
照姫にそういわれ、確かに俺もそうだと思ってしまったので頷くしかない。
「仕方ねえな。そのかわり爺、俺にこの世で生き残る術を教えろ。それが条件だ」
爺は俺の条件を聞き、にこやかな笑顔で快諾した。
「任せておけ、最初からそうするつもりじゃったからのう」
最初から? と俺が声に出そうとすると、爺が、持っていた二本の太刀を俺に渡してきた。
「お主にやろう」
「え? いいのか爺、これお前の息子の形見だろ?」
「その息子の頼みじゃ、その武器を使いこなせる者を探してほしいと」
「いや俺には絶対使いこなせねえぞ?」
俺はそういって爺に野太刀を返そうとする。
だってこれ一本ですごい重いんだぜ? しかも二メートルほどもあるから俺の身長じゃ背負うことすらできないし。
「今はできんがお主が修行をすれば可能じゃろう。なにせその歳でこの森を生き抜くことができるんじゃからな」
自信に満ち溢れた顔でそういわれ、俺は少しの間迷った。
確かに魅力的な話だ。こんな業物といってもいい太刀を二本ももらい、しかも爺が修行をつけてくれるらしい。だがしかし、まだ俺には早いんじゃないかとも思う。
爺と子供が二人で旅をすればこの世の中だ。賊なんかから見れば俺達は格好の獲物だ。爺がどれほど強くたって限度があるだろう、それに爺だ老いもある。そこでお荷物になる俺がいればどれほど大変だろうか。
「大丈夫じゃよ」
俺の考えていることが分かったのだろうか。爺が自信満々に宣言する。
「儂だって馬鹿ではない、ちゃんと考えておるわい」
それに、と爺が俺を見てニヤリと笑う。
「お主がすぐに強くなればいいんじゃろうが」
爺のその顔に、俺は不思議と嫌悪感は感じなかった。そのかわり、煽られた自分の顔にもニヤリと笑みが浮かび、爺に仕返しとばかりにこういった。
「すぐに老いぼれ爺くらい守れるようになってやるよ、このクソジジイ」
こうして俺はこの森を抜け、ジジイと旅に出るのだった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ