バト・・・る?
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・つまり、不死属性を会得する権能である。伝承によると阿修羅は、インドヒンドゥーにおいて《太陽神》、《火の神》の神格も持っているとされる。神話において《太陽神》の神格は、何度大地に沈んでも次の日には必ず昇ることから不死の属性を持つとされており、他にも『生命の脈動・活力』なども司る強力な神格だ。何度敗れても蘇り、帝釈天に挑み続けた阿修羅の性質を、そのまま手に入れた権能と言えるだろう。
・・・・・・だが、世の中そんなに上手くは行かないものだ。特に、手に入れた人間の性質に引っ張られて姿かたちを変えてしまうカンピオーネの権能と言うものは。ただ単に、身体能力と再生能力を高め、死の運命さえも覆す不死の属性を追加するだけの権能だったならば、これほど使いやすい権能も無かっただろう。沙穂は剣士で、敵と至近距離で戦うため傷が絶えないし、特に彼女の最初の権能【金剛杵】は諸刃の剣とも呼べる権能。一度使うだけで自分自身が瀕死状態になる権能なのだから、肉体の再生能力も高め、不死属性を追加するこの権能とは最高の相性だったはずだ。阿修羅の権能が宿敵の筈の帝釈天の権能を補佐するような能力になったのは、皮肉なものだが。
しかし、この【修羅の刻】には致命的な弱点が存在した。
それが、『戦闘以外の事柄を考えられなくなる』という副作用。
帝釈天に対する恨みを抑えきれず戦い続けた挙句、『復讐に固執するのは正義の神として相応しくない』と正義を司る神から悪神、闘神にまで堕とされてしまったという経緯から生まれた副作用なのだろうが、こと戦いにおいて、これほど厄介な副作用もない。
どんな犠牲が出ようとも、気にしなくなるのである。結果的に戦闘に勝利できればそれでいい。仲間が自分の攻撃に巻き込まれようと、何の関係もない一般人を攻撃の盾にしようと、何も感じない。自分の命ですら、敵を倒す為ならば気にせず差し出すだろう。それは、戦闘における苛烈さを加速させるとともに、周りの一切を気にせず戦うことから予想外の反撃を受ける可能性があるということだ。この権能を発動した彼女なら、普段は絶対厳守の鈴蘭の命令ですら、簡単に背くだろう。
要は、戦いに熱中しすぎて周りが見えなくなる副作用なのである。
今起こったのは、その弊害だ。彼女は、地面の状態も確認せず(幻覚によって地面は肉の塊に見えてはいるが、それでもよくよく見れば亀裂のような物が走っているのが見えた筈)、【修羅の刻】で最大限まで上昇した身体能力で、思い切り地面を踏みつけた。病院の床は、先ほどの彼女が起こしたソニックブームにより脆くなっていた。そこに、人外の膂力を持つ沙穂が全力で踏みつけたのだ。床が抜けるくらいは当たり前。むしろ、病院が倒壊しなかったのは幸運だとも言えた。
「好機!」
その叫びに、沙
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