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『曹徳の奮闘記』改訂版
第九十一話
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曹操は決断をして荀イクに視線を向けた。

「……桂花、先程の発言は撤回するわ。毒を仕込む事に優先するのよ」

「御意」

 荀イクは頭を下げて退出した。




 一方、仲軍内の陣内はというと……。

「……どうしたものかのぅ」

 自身の天幕で美羽は悩んでいた。

「魏軍の数は妾達より多い。迂闊に攻めれば負けるのは必須じゃな」

「となれば……夜襲で火計……」

 美羽はそう考えていたが上手くいく試しがあるか不明だった。

「じゃが試してみるのは良いかもしれんのぅ。七乃ぉ」

「はいは〜い」

 天幕の外に控えていた七乃が笑顔で入ってきた。

「長門と雪蓮を呼んできてほしいのじゃ」

「分かりました」

 七乃は兵に二人を呼びに行かせた。

「どうした美羽?」

 俺は美羽に呼ばれていた。

「うむ、今回の戦いなんじゃが……」

「俺としては夜襲で火計するのが手っ取り早いと思うけどな」

「ハハハ、それは妾も思っているところじゃ」

 ん? それは一体……。

「魏軍を撃ち破るには火計で全てを燃やすしかないのじゃ。じゃが、それには雪蓮、元呉軍の力が必要なのじゃよ……」

「そうなの?」

「うむ……」

 美羽は悲しげな表情をしている。

「雪蓮、御主には苦労をかけるかもしれんがそれでも構わないかの?」

「……美羽、前に言ったでしょ。私達は友達よ。勝つなら何でもするわ」

 ん? 今何でもするって……メタですね分かります。

「……分かったのじゃ。実はの……」

 そう言って美羽は策を話始めた。

「……成る程ね」

「構わんかの?」

「良いわよ」

「随分とアッサリだなおい」

 雪蓮の了承に俺は思わずツッコミを入れた。

「良いのよ。久々に戦いたいから今からうずうずしてくるわ」

 雪蓮はそう言って笑う。

「……済まんのじゃ雪蓮」

「構わないと言ったでしょ美羽」

 う〜む、お姉さんと妹の構図だな。

「それで作戦の開始時期は?」

「準備が出来次第攻撃開始じゃ」

 成る程成る程。

「よし分かった。それなら真桜に製造するように連絡しておく」

「分かったのじゃ。二人ともお願いするのじゃ」

「任せておけ」

「張り切るわよ」

 俺達はそう言い、そして翌日にある事件が起きた。

「もう一回言ってみるのじゃッ!!」

「えぇ、何度でも言いわよ。このままだと仲軍は魏軍には勝てないとねッ!!」








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