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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
第三十話
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七.七ミリ弾が炎龍の身体に命中するが、固い鱗で弾き返される。それでも目を狙って射撃をする。
炎龍は射撃に攻撃が出来ず、砲兵隊の射撃準備の時間を与えてしまった。一番早くに準備が出来たのは九二式歩兵砲であった。
「撃ェッ!!」
九二式歩兵砲の砲撃音が響く。九二式榴弾は炎龍の右翼に命中した。
「やったかッ!?」
しかし、煙が晴れると健在な炎龍がそこにいた。
「四一式山砲はまだ撃てないのかッ!?」
「まだ掛かりますッ!!」
樹の言葉に砲兵はそう答えた。砲兵の返事に樹は舌打ちをしつつベ式機関短銃を構えて粘ろうとした。伊丹もベ式機関短銃を構えつつテュカに何か言っている。
しかし、そこへロゥリィが炎龍に駆け寄ってハルバートの一撃を放った。
だがロゥリィの斬撃は炎龍の顔をひしゃげる事しか出来なかった。それでも炎龍には効いたようで翼と手足をじたばたさせながら大地を転がる。
そこへレレイが魔法を発動させて炎龍に魔法を叩きつけようとしたが微妙に避けられて炎龍はバランスを取り戻した。
「撃ちまくれェッ!!」
第三偵察隊がロゥリィに対して援護射撃をし、ロゥリィがハルバートでかまそうとするが炎龍はロゥリィに右腕で対抗した。
「きゃんッ!?」
「ロゥリィッ!!」
炎龍の右腕に弾き飛ばされたロゥリィが地面を転がりながら勢いを殺して立ち上がる。
ロゥリィが切れた唇の血を舐めた。
「やってくれるじゃなぁい?」
「撃ェッ!!」
ロゥリィがハルバートを構えた時、漸く四一式山砲が砲撃をした。
四一式山砲が狙ったのは右腕であった。九五式破甲榴弾は狙い通りに炎龍の右腕に命中した。
「やったかッ!?」
伊丹はテュカを抱き締めながら炎龍を見ていた。煙が晴れると炎龍は右腕の根本の半分近くを抉られていた。
「この前は腕を吹き飛ばしたはずなのに……」
「違う。恐らく砲弾の角度が悪かったんだ。次弾装填ッ!!」
ヒルダの言葉に樹が補足して次弾装填を急がせる。
しかし、炎龍は吠えながら翼を大きく羽ばたかせた。
『伏せろォッ!!』
その風速で四一式山砲の九四式六輪自動貨車を薙ぎ倒した。しかし炎龍は吠え、伊丹達を睨みつつ翼を羽ばたかせて飛び去ったのであった。
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