四話
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れ、中々良くない? 実も食べられるわよ』
そういわれて木を見渡せば、確かに先ほどまでいた木とは別の実がなっており、他の木に比べ少しだけ低く雨宿りできそうで、この体なら多少動き回ることもできそうだ。
(あれにするか、見つけてくれてありがとな)
『ふふふ、もっと褒めてもいいのよ?』
(いや、遠慮しとく)
『なんでよ?』
(付け上がるからだ)
『どういう意味よ!!』
照姫がキーキーいってるのをよそに、助走距離をとり、全速力で走りだす。そして上向きに駆け上がり、途中で木にしがみつきながら上を目指していく。
「ハァ、ハァ、今回は大分マシになったな」
一番最初に比べ、断然形になった木のぼりができたので心の中でガッツポーズをとる。
『でも狼は倒してないわよ? 諦めたの?』
「まあ見てろって。そういえば今思ったけどしゃべっても念話聞こえるのか?」
『そうね、基本的に私がこっちに来てるようなものだから、しゃべっても私には伝わるわ』
「なるほどな、じゃあ今回はこっちにするか」
『まあいいけど、人がいるところですると怪しまれるわよ?』
「ここは人いないから大丈夫だって」
『それもそうね』
「そういや照姫がいう反乱分子っていつごろ来るか分かるのか?」
『一応探ってはいるんだけど、どうにも動く気配がないのよね』
「そうなのか」
『ええ、まるでなにかを待ってるような感じがするわ』
「そんなことまで分かるんだな」
『えへん、もっと褒めていいのよ?』
「だからいやだ」
『だからなんでよ!?』
「お、ようやくきたか」
俺達 (詳しくは俺の声だけだが)が話している声に気づいたのだろう。都合よく狼一匹が木の下まで近づき、グルルと唸るように低く吠え始める。
「さて、それじゃあいつには悪いが俺の食料になってもらうかな」
俺はそういって先ほど拾った石をとりだす。そしてそれを思い切り狼の頭に投げつけ、軽い脳震盪を起こさせた。
ガツ、ガッ、ガッ、ガッ。
持っている石すべてを投げ、狼が動かなくなったのを確認してから、木を降りていく。
『結構えげつないこと考えるわね』
(今この場所は弱肉強食の世界だろ、やらなきゃこっちがやられるんだよ)
『まあ確かにそうだけど、でもその狼どうするの? 火なんてないわよ?』
(ああ、生き物って実は死んですぐなら生のままでも食べられるらしいんだ)
『中々野生児になってるわね』
(この森で生きていくんだからな、これくらいはできないとこの先食べるもんなんてほとんどねーよ。まあ残った分は干し肉にでもしようと思ってるし、毛皮は防寒対策になるからな)
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