暁 〜小説投稿サイト〜
蒼天に掲げて
四話
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 でもまあ身体も随分鍛えられたし、なにより心に余裕ができたんだから、狼一匹くらいならなんとかなるかもしれないな。

『随分いうようになったじゃない』

 そしていざ降りようとした時、ひょっこり照姫が念話を飛ばしてきた。

『でもそれだけじゃまだまだ狼なんか倒せないわよ。大人でもやっとなんだから』

(いきなりダメ出しか)

『貴方に死なれたら困るのよ! まったく、あまり過信しないでっていったでしょ』

(過信なんてしてないぞ、俺はいたって平常だ)

『それなら狼なんて倒せるわけないって分かるでしょ、それこそ一カ月しか経ってないんだから』

(いや、なにも正面からやり合おうなんて考えてはないぞ?)

『? それならどうするのよ?』

(まあ見とけって)

 俺は、首を傾げているであろう照姫に少しカッコつけて木を降り、あるものを拾いながら違う木を探して歩き出す。

『あ、そういえばね、柏也はこの世界がどんな世界か知ってる?』

(いや、全然知らないけど? 異世界とかじゃないのか?)

『ぶっぶー、はずれよ』

(……ぶっぶーって、小学生か)

『うっさいわね! また土下座させるわよ?』

(できるもんならやってみろ)

『へえ、ホントにいうようになったじゃない。ならさせてあげるわよ!』

 照姫がそういった瞬間、俺の上半身がズンと鉛のように重くなる。

「ぐぬぬ……どうだおい、耐えられるぞ?」

『ふっふっふ、甘いわね。それが限界だと思ったの?』

 俺が必死に耐えていると、照姫の含み笑いが聞こえたと思ったら一気に体が
いうことをきかなくなった。

「くそ、本気じゃなかったな!?」

『当り前じゃない、人ひとり動かせないようなへっぽこ神じゃないわよ私は』

(くっそが、次は絶対耐えてやるからな!)

『できるものならやってみなさいよ、まあ最低でも後十年は修行しないと耐えられるようになるのは無理ね』

(その言葉、覚えておけよ)

『ええ、いいわよ。あ、話逸れちゃったから戻すけどこの世界は三国時代、三国志の世界よ』

(なっ、なんだってー!?)

 照姫のいきなりのカミングアウトに驚いた。

『びっくりしたでしょ?』

(てことはあれか、関羽や呂布がこの世界にもいるってことか!?)

『ええ、いるわよ。あ、でも外史の世界だから容姿なんかは違うかもしれないわね』

(おお、リアル(いくさ)時代。いつ死んじまうか分からなくなってきた)

『まあ修行すれば大丈夫よ、あ、あの木いいんじゃない?』

 俺が頭を抱えて唸っていると、照姫が条件に合った木を見つけたのか教えてくれる。

(あの目の前の木か?)

『そうそ
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