第二十八話「ケルベロスは本当は可愛い生き物なんです」
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だ『女王』になることが出来ない。これは単に俺の修業不足だ。
基本的に俺の悪魔としての性能は下だからな。
もっと強くなってやる。もっともっと修業して、部長の言う最強の『兵士』になるんだ。そんでもってウハウハのハーレム人生を謳歌してやるんだ!
だから――、
「こんなところで躓いてるわけにはいかないんだよぉぉぉッ!」
足裏から魔力を瞬間的に放出し倍加する。
一気に加速した俺は犬っころに対抗させる暇を与えず懐に潜り込んだ。
左脚で地よ砕けと言わんばかりに大地を踏みしめる。
大きく引いた右手の指を揃えて手刀の形に。
「くらえ! レイ直伝――劣化版螺旋抜き手ぇぇぇ!」
ドリルをイメージした手刀をその穴が開いた横腹に叩きつけた。
あの時、レイに修行をつけてもらった時に受けた一撃。あまりの威力に気絶してしまったけれど、覚えている限りを思い出しながら日々練習してきたんだ。俺なりの改良を加えながら。
まだオリジナルには到底届かない完成度だけど、これが俺の唯一の必殺技だ!
『Boost!!』
指先から魔力を螺旋状に放出し倍加によって回転数を上げる。
肘の辺りまで突き刺さった腕を引き抜き大きく後退した。これでどうだっ!
「いい攻撃だわイッセー! これで終わりよ!」
部長の放った滅びの一撃が、今度こそケルベロスを飲み込んだ。
肉片すら残さず消滅した強敵にふぅっと一息を吐くが、まだ戦いは終わっていなかったと思いだし気合を入れ直した。
――グルルルルルゥゥゥ……。
不穏な気配と唸り声に思わず背筋が凍りつく。
ゆっくり振り返って見ると、そこには今にも虚空から現れようとしているケルベロスの姿が。
「もう一匹いんのかよっ!?」
虚空にぽっかり空いた穴から出ようとしているもう一匹の犬っころ。そのすぐそばにはアーシアの姿があった……!
「アーシア!」
アーシアは恐怖から身体が竦んでしまっているのか身動きが取れない様子。今にも自分の目の前に顕現しようとしている最悪の権化に顔色を真っ青にしていた。
駆け出した俺はアーシアとケルベロスとの間に割って入る。それと同時に虚空から現れたケルベロスが腕を一閃した。
「がぁっ!」
あまりの衝撃、あまりの力。
俺の身体は難なく吹き飛ばされて、校庭を二転三転した。
「イッセーさんッ!」
「イッセー!」
「イッセーくん!」
「先輩……!」
いってぇ……くそっ! よくも
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