暁 〜小説投稿サイト〜
我が剣は愛する者の為に
黒幕
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
隊を引き連れ、馬を走らせると前方に村と炎、そして黒い煙が漂っているのが見えてきた。
逃げられたかと思ったが、肉眼で村人らしき人物たちが必死に逃げているのが見えた。
憶測だが、まだ賊は襲い始めたばかりなのだろう。
今から全速力で向かえば被害を最小限に押えれるかもしれない。
見慣れない兵士が俺の傍にやってきた。
甲冑を見る限り雲流の兵士だろう。

「関忠様の隊は村を襲う盗賊を正面から叩いてください。
 我らは村を囲い、賊が逃げられぬようにして包囲し援護します。」

まぁ、予想はしていた。
これからの事を考えれば一人でも兵を温存したいと思う。
あちらの方が地位としては上だ。
ここで断れば華琳の印象も悪くなるし、説得して戦法を変える事もできるだろうが今は時間がない。
雲流は俺の性格を読み、今まで作戦を伝えなかったのだろう。
俺は小さく頷くと、兵は軽く一礼して自分の隊に戻る。

「いいのかい?」

胡蝶は雲流の考えを読んだのかそう聞いてくる。
確かに賊の数は多くないとはいえ、こちらも少数で隊を組んでいる。
正面からぶつかれば被害を受けるのは間違いない。
が、目の前で民が苦しんでいるのだ。
時間をかけて作戦を変更している場合ではない。

「時間がないからな。
 胡蝶、お前は兵士に指示を出して被害を出来るだけ小さくしろ。
 俺が先行して出来る限り、数を減らす。」

春蘭の元で厳しい訓練を乗り越えてきた兵士達だ。
胡蝶の指示をしっかりと聞けば、賊なんぞに後れを取らないはず。
村に向けて放った斥候が帰ってきた。

「賊は村に到着したばかりの模様!
 その数、およそ千!」

千の賊で村はそれほど大きくはない。
この数なら三十分もしない内に村は全滅してしまう。
俺達の隊の数は八百。
雲流の隊は約千。
きちっと連携すれば勝てない数ではない。
俺は刀を抜いて、後ろの兵士に号令をかける。

「これより村の襲う賊を討伐する!
 俺が先行し、賊を叩く!
 お前達は胡蝶の指示に従い、雲流の隊と連携しながら続け!」

俺は前へ先行し、村へ単身で突撃する。
少し離れた所で村に松明を使って火を放とうとする賊が見えた。
袖の内からクナイの形をした道具を取り出し、後頭部目掛けて放つ。
無論、腕は氣で強化済み。
弾丸のように飛んだクナイは見事に後頭部に刺さり、貫通する。
松明も地面に落ちたので引火はしないだろう。
さすがに千人の賊が襲ってきただけあって、村は惨憺たる状況だった。
剣で斬られ死体となって転がっている村人。
目の前で親を失ったのか子供が、泣きながら親の死体を必死に揺さぶっている。
血の匂いが充満し、焼けた匂いが鼻をつく。
怒りで歯を喰いしばる。
彼らが何をした?
ただ家族と平
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ