暁 〜小説投稿サイト〜
我が剣は愛する者の為に
黒幕
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
に指示を出して、俺は街に繰り出す。
どの料理屋も賑わっているが、一部の店は廃れ閉店しているように見える。
ある料理屋を見つけ、中に入る。

「いらっしゃい。」

中にはほとんど客はない。
俺は一番近い席に腰を下ろす。
座ると思っていなかったのか、店主は驚いた顔をして注文を聞いてくる。

「お勧めの料理を。」

「か、かしこまりました。」

久しぶりの客だからか、店主は張り切った顔を浮かべつつ厨房に下がる。
と、前の相席に誰かが座った。
顔を見ると胡蝶だった。

「お前も抜けて来たのか?」

「あんな汚い食い方を目の前で見れば、誰だって食欲無くすよ。」

確かに苑意の食べ方は汚い。
俺は同意し、胡蝶も俺と同じ料理を頼む。

「それで何をするつもりだい?」

脈絡もない発言に少し驚いた表情を浮かべた。

「何か目的があってこの街に来たんでしょ?」

「よく分かったな。」

「縁の行動を見てたら勘付くよ。
 さすがに目的までは分からなかったけどね。」

目的までばれたら本気で胡蝶に隠し事ができなくなる。
さすがに一人では手が回らないので、苑意に対しての容疑、そして今までの賊との関連性を教える。

「ふむ、賊が現れるのは私も疑問に思ってたけどね。
 それで縁はあの男に容疑を絞っているんだね。」

「ここで資料を読ませてもらった結果、その線が濃厚になってきた。
 まぁ、まだ確定したわけではない。
 決定的な証拠が欲しい。
 何名かの兵士に調査を依頼したが、まだ一つ頼めていないのがある。」

「それ、私がやろうか?」

内容を聞かずに胡蝶はそう答えた。

「いいのか?」

「あの男、気に入らないからね。」

至極単純な理由だった。
胡蝶は少し動物的な考えを持っているのだと、最近になって気づいた。
調査して欲しい内容を胡蝶に伝え終ると同時に、店主が料理を運んできた。
運んできたのはシンプルなラーメン。
合掌し、食べる。

「うん、美味い。」

「まぁまぁかな。」

そう言いつつも胡蝶は綺麗に食べ、俺は二人分の料金を店主に渡す。

「自信を持ってくれ。
 この味ならきっとうまくやれるさ。」

根拠も何もないただの言葉。
それでも聞いた店主は涙を浮かべながら、お礼を述べた。
店を出て、胡蝶と分かれる。

「それじゃあ、くれぐれも気をつけてな。」

「ああ、分かっているよ。」

俺達は動き出す。
狐の尻尾を捕まえるために。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ