黒幕
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和に暮らしたいだけなのに、どうしてこんな目に会わなければならない。
馬から下りて、視界に映る賊に怒りをぶつけようと、彼らの顔を見た瞬間だった。
怒りを忘れ眉をひそめたのは。
「・・・・・・・」
賊は何も話さない。
まるで言葉を忘れたかのような顔だ。
生気は欠け、目は虚ろ。
しかし、彼らは家を燃やし虐殺を続けている。
疑問に感じたが、彼らがしているのを止めないといけない。
足を強化し、一撃で賊を仕留めていく。
ここでも疑問が生まれる。
今まで会ってきた賊は俺が戦うのを見て、逃げたり命乞いをするのが多かった。
また、斬られる瞬間も断末魔を挙げたりしていた。
なのに、この賊達は斬られても断末魔愚か言葉も発さず死んでいく。
誰一人とて逃げようとせず、村人や俺に攻撃してくる。
よく訓練されたのか、熱い結束で作られた集団なら逃げない理由にはなる。
だが、言葉を一言も発さないのは妙だ。
(どうなっているあまりにも奇妙すぎる。)
ちょうど周りから馬の足音が聞こえた。
後続部隊や雲流の部隊だろう。
そこで俺は刀を納刀して、賊を拘束する。
「誰かいるか!」
「ここに!」
俺の声に反応した兵士が近づいてくる。
一応腕の関節を外し、抵抗できないようにして兵士に渡す。
「こいつを拘束して見張っておいてくれ。
後で尋問する。」
「了解いたしました。」
一人だけではと思い、後三人くらい拘束しておく。
雲流の部隊と胡蝶の指示で賊のほとんどを討伐する事ができた。
兵士には負傷者や村人の怪我の手当て、および火を消したりと村が少しでも速く復興出来るように指示を出す。
そして、俺と胡蝶、数名の兵士と雲流は膝を折り、視線を下に向けたまま何も話さない四人の賊に視線を向けていた。
「さて、何から聞こうか。
とりあえずお前達の後ろで誰が人を引いているのか教えろ。」
「・・・・・・」
質問を投げかけるが何も答えない。
「答えればお前達の身柄は保障しよう。
人を殺した罪は重いが、償い、俺達に貢献すれば街で暮らせるように手配する。」
揺さぶりをかけようと餌をちらつかせてみるが、これにも何も反応しない。
雲流の情報が正しければ、賊はどこで人を集めているのかと思わせるくらい、定期的に討伐しても増えてくる。
このご時世、食うに困り追い剥ぎや賊をしざるを得ない状況に陥るのはよくあるが、それを考慮しても明らかにおかしい。
賊の後ろには何かがいると俺は推理しているのだが、情報源である彼らが口を閉ざしたまま。
「さて、どうしたのものか。」
「いっその事、拷問でもするかい?」
「それは効果的だろうが、そんな事をすればこいつらは自害するだろうな。」
「こいつら
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