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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
陰謀と計略
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し、仮にも《六王》第五席の彼女相手に、目に見えた傷のない状態で勝利したレンの今の実力を想像すると………
怖い考えになったので止めた。
はぁ、と俺がため息をついたとき、レンの隣に控えていたカグラが唐突に口を開いた。
「来たようです」
短いその言葉の意味が俺には解からなかったが、レンは解かったようだ。ぱっと顔を輝かせる。
「やっとかー。思ったより長かったな〜」
「???おいレン、いったい何を―――」
俺はますます解からなくなり、真相を突き止めるべくそう言いかけたところに
ッッドオオォォォォォーンンッッッッ!!!
俺の背後で轟音が鳴り響き、俺の言葉を掻き消した。
「………………な」
思わず振り向いた俺の顔を襲ったのは、ジェット噴射のような呼気だった。ツンツンに逆立っていた俺の髪が思いっきり後ろに吹っ飛ばされる。
肩に乗っかっていたユイが吹き飛ばされそうになって、必死に踏ん張るのが見なくても分かる。
振り向いた俺の目と鼻の先にいたのは夜闇のごとき漆黒の体毛を持つ、体長二メートルはあろうかと言う巨大な黒狼だった。燃えているように紅い双眸が、ギラリと不吉に輝く。
「く、クー………か」
数秒間口をパクパク開閉した後、やっとのことで言葉を捻り出す。わー、とユイが肩から飛び立ってクーの鼻面に纏わりつく。
そう言えばクーの姿が結構前から見えないと思っていたら、レンのお遣いにでも行っていたのだろうか。
相変わらず、心の準備なしに見たら心臓に悪い姿だ。
「クー、お疲れ様〜」
レンが近寄り、あごの下をカリカリするとクルルルルルゥ、と猫のような唸り声を発する。その声を聞くと、意外に可愛らしく見えてきた。
いや、よーく見るとレンは撫でているわけではない。首の下部分の体毛に手を突っ込んで、ごそごそ弄くっているのだ。
やがてその手が引っこ抜かれた時に握られていたのは、長細くて四角い直方体だった。大きさは、両手で抱えるほどだろう。その色はやはり、体毛の色と同じ漆塗りの漆黒だ。
レンがその下部に触れると、その箱はパカッと開いた。中から出てきたのは、丸められた────
「羊皮紙?」
よくよく見ても、それは少し黄ばんだ羊皮紙だった。
今はなきSAOでも、おそらくこの世界でも、この手のメモアイテムはあまり使われなかった。使われたとしても、物忘れしやすいプレイヤーがクエストの内容などを書き留めるくらいのものだ。
その理由はと言えば、メッセージシステムが存在しているからだ。
フレンドに登録すれば、いつ、どんな時でも文字数に制限があるとはいえメッセージが送れるのだ。こんな便利なシステムがあるのに、わざわざ使い魔を通して手紙をやり取りする物好きな奴は
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